98.1%が「人生の選択肢が増えた」と回答。なぜ今、 エグゼクティブがMBAに注目するのか

累計在卒生数1万1000人を超える日本最大のビジネススクール、グロービス経営大学院。2025年度から、これまでのMBA(経営学修士)プログラムを「エグゼクティブMBA(EMBA)」と「テクノベートMBA(TMBA)」の二つのトラックに分けて開講する。中でも「EMBA」は主に40歳以上の実務経験豊富なビジネスパーソンを対象に、激変するビジネス環境に適応するための経営教育を提供するものだ。これまで数多くの卒業生を送り出してきた研究科長の君島朋子氏と、経営戦略や、ファイナンス領域の担当教員であり、かつ現役の経営者でもある前川卓志氏に、グロービスの強みと「EMBA」開講に込めた想いを聞いた。

※「テクノベート」‥テクノロジーとイノベーションを掛け合わせた造語。

「キャリアに対する漠然とした不安」を解消する、グロービスの学び

「グロービスに入学される方は、学ぶべき明確な意図や目的を持っている方もいますが、キャリアに対する漠然とした不安を抱えている方も多いと感じます」と前川卓志氏は語る。

「人生100年時代が到来した今、40代~50代での転職も当たり前になっています。そんな状況でふと、自分は目の前の仕事をこなしているだけでよいのか、限られた範囲でしか物事を捉えられていないのではないかと不安になる方も多いようです。また仕事を取り巻く環境も変化しており、多様な価値観や専門領域を持つ人たちと円滑にコミュニケーションを取る必要性が増しています。どうしたらスムーズに業務を進めることができるのかと悩ましいようです」(前川氏)

 40代~50代ともなると、経営に携わる部長以上のエグゼクティブ層や、あるいはキャリアを積んで経営層を目指すビジネスパーソンも多い。順風満帆に見える彼らもまた、ビジネス環境が急速に変化する中で、自分の経験や直感に頼るこれまでの自己流マネジメントのままでよいのか、状況に応じた最適な判断をするための理論的なバックボーンが必要ではないのかという、切実な不安を抱えている。

 特に、経営層に近づくほどカバーすべき領域は広がるが、同時に専門外の領域を率いることも増えていく。常に最新のスキルや知識を学び続けることは必要だと理解しているものの、日進月歩するAIテクノロジーの進化や、経済環境の変化に適応し続けることが、一人では難しくなっている状況がある。

「しかし、グロービスの門を叩くことで、ここまでに挙げたような課題感や不安は解消されていく」と前川氏は言う。

「知識を身に付けたいならば、本を読めばいい。けれども、それだけでは自分の行動をどう変えていけばいいかが分からない方も多くいらっしゃいます。同質だった世界は崩壊して、自分と属性が違う人たちをマネジメントしていかなければなりません。若い世代は、目をかけて育てても身軽に転職していきます。多様性が進む中で自分は今後どのようなキャリアを築いていけばよいのか、グロービスはそうした悩みを抱えるエグゼクティブ層やそれを目指す層に対して、明確な学びを提供しています。また、自分たちより少し上の世代ともつながれるので、自分にとってのロールモデルとなる存在に出会えることも多く、それが励みになるようです」(前川氏)

 エグゼクティブ層ともなると、似たようなことで悩んだり課題感を持ったりする人も多い。多様な業種・職種の人たちと出会い、互いの不安や悩みを言葉にしていく中で、学ぶべき具体的な項目が見えてくるというわけだ。社内ではうっかり口にできないようなことも、ここでなら話せる。そういったリスクフリーな環境が、グロービスにはある。

 また、グロービスの学びの特徴として、人事・マーケティング・会計など「ヒト・モノ・カネ」という既存のMBA領域に加え、「思考」「テクノベート」「志」「創造」「変革」など独自の領域を展開していることもユニークだ。ビジネス環境が変われば、求められる能力も変わる。そのため、カリキュラムも既存の枠にとらわれず、常に次世代を見据えた内容へと進化を続けている。現場で起きる課題を解決するための最新知が凝縮されているのだ。

 もちろん、先に挙げたような「多様な価値観や専門領域を持つ人たちと、いかにして円滑にコミュニケーションしていくか」といった課題も、「ヒト」領域科目において定石や最新知を基に学べる設計になっている。

98.1%が「人生の選択肢が増えた」と回答。なぜ今、 エグゼクティブがMBAに注目するのかグロービス経営大学院 前川卓志
三井住友銀行にて市場企画、経営企画業務を歴任後、ボストン コンサルティング グループにて数多くのプロジェクトを手掛ける。その後、複数社の代表や社長を経験。現在は、PKSHA Technologyにて執行役員経営企画室長、ならびに、子会社のアイテックの代表取締役社⾧を務める。担当科目は「アカウンティング」「ファイナンス」「経営戦略」「ビジネス・プレゼンテーション」「テクノベート・ストラテジー」など。