こんにちは。このシリーズでは、新たな働き方を支えるデジタルITとして、「モビリティ」と「エンタープライズソーシャル」を取り上げています。そして前回までに「モビリティ」の効果を真に創出するためには、「UX(ユーザーエクスペリエンス)」を意識したビジネスとシステムの設計が重要であることをお話しました。

 パソコンによるチャットやテレビ電話、テレビ会議の仕組みが、メールや予定表と連動し、加えてモビリティとも連動することにより、いかに生産性が向上するかを書きました。

 アバナードの米国本社が行った「世界1000社のCxOに聞きました」型調査では、約77%の企業が「エンタープライズソーシャル」を活用しており、そのうちの、82%が、今後さらに活用していきたいと回答しています。

 ところが、IDCが2013年に行った調査によると、日本では、わずか16.5%、しかも、一部の部署でしかエンタープライズソーシャルを活用していない。これはもはや、費用対効果を分析している場合ではないとも申し上げました。

 そこで今回は、エンタープライズソーシャルの効果を経営に活かすためにはどうしたらいいのか、お話をしてみたいと思います。

目的がわかっていないのに
使う前提で議論をしている

 IDCの上記2013年の調査によると、現時点で利用意向がない日本企業の60%以上は、その理由として「利用目的が不明確だから」と伝えています。

 私が企業のトップの方とお話をしていても、相当数の方々が、「価値が分かりにくい」ことを挙げられます。

 ところがインターネットの記事などでは、その一番大事な意思決定の部分を飛ばし、主に「どうしたら浸透するか」を担当者の目線で書いている場合がほとんどです。