モバイル決済で新たな生態系を創り始めたアップル。一方で、日本上陸には規格や手数料率といった大きな障壁が立ちはだかっている。
「やあ、みんなは新しい製品を2台とも買うのかな?」。9月18日午前8時、米カリフォルニア州パロアルト市にあるアップルストアには、黒いTシャツを着た同社のティム・クックCEOが姿を現した。
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店外には、この日に発売される新製品のスマートフォン「iPhone6」と大型の「iPhone6プラス」を買い求めるため、4日前から並んでいるという男性を先頭に数百人の行列ができていた。
創業者の死によってアップルの革新性は失われた──。そういわれてはや3年。そうした世論への反撃の一手をようやく見せた。
既知の通り、アップルが新たにアピールしたのは主に3点ある。大画面化したiPhone6プラス、スマートウオッチと呼ばれる腕時計型の端末の「アップルウォッチ」、そしてスマホや腕時計をかざして使う新しい決済機能「アップルペイ」だ。地味だが、この三つ目の決済機能こそ、これまでにないアップルの挑戦になるはずだ。
米国では10月から、マクドナルドやサブウェイといった飲食チェーンや百貨店のメイシーズなど約22万店で使えるようになる。
アップルと手を組んだのは、三大決済事業者のビザ、マスター、アメリカン・エキスプレスと、大手の銀行10行などだ。彼らがそろって強調するのは、セキュリティの高さとその簡易性だ。