ますます困難となる日韓関係
基本的スタンスの確認が必要に

 日韓関係は1965年の国交正常化後、最悪の状態にあるとされる。慰安婦問題を契機として韓国政府、特に朴槿恵大統領は、第三国においても日本批判を繰り返し、歴史問題で中国と共闘する気配を見せてきた。

 韓国の対日感情や日本の対韓感情は、悪化の一途を辿っている。ここへきて慰安婦雇用の強制の証拠とされた「吉田証言」は虚偽であったとする朝日新聞の検証結果もあり、日本側が慰安婦問題でこれまで以上の新たな方策を講じるのは、ますます困難となっている。産経新聞前ソウル支局長の名誉棄損起訴も、日韓関係に困難な要因を持ち込んでいる。

 今のところ日韓関係の現状を打開できる展望は見い出せない。来年は戦後70周年であるとともに、日韓の国交を正常化した日韓基本条約締結50周年である。現状のまま来年を迎えれば、民主主義的価値を共有し米国の同盟国であり、本来最も重要な隣国であるはずの韓国との亀裂が、決定的になるような気がしてならない。

 日韓双方は小手先ではなく、長期的視野に立って日韓関係を見直し、関係打開のためには何をする必要があるのか、真剣に考えるべきときに来ているのだろう。

 筆者は本年7月の本コラムでも、日本と中国及び韓国との関係悪化の背景や、悪循環を止める方策を提言している。本稿では、一向に改善の兆しを見せない日韓関係に的を絞り、日韓双方が相手に対する基本スタンスを再確認することが必要である点につき、議論したいと思う。

 1998年に金大中大統領が訪日した際、小渕首相との間で行った日韓共同宣言は、未来志向の日韓関係を将来に向けて基調設定する意味で、特筆するべき宣言であった。この宣言の中で日本は過去について改めて謝罪をし、双方が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好に基づいた未来志向的な関係を発展させることを約したのである。