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黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

「育休明け社員」に寛容な女性課長の黒い本音(下)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第3回】 2015年2月17日
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>>前編「育休明け社員に寛容な女性課長の黒い本音」(上)から続きます。

 この場合の「優秀な人」とは、自分のことを意味しているのだと筆者は思った。これに近いことは、専任部長も40代の社員たちも口にする。

「みんなで支え合おう、ファシズム」
の本音は「厄介者は追い出したい」

 女性課長など、これら一連の社員たちは、育児休業明けの社員そのものに不満を持っているのではない可能性がある。もちろん、仕事が押し寄せることには憤りを覚えている。各々のホンネは正確にはわからないが、おそらく、女性課長がいみじくも口にするように、何よりも「もっと自分に見返りを」を求めているのである。

 つまり、「早く出世させてよ」「もっと給料を上げろ」「もっと自分を認めろ」と言いたいのだろう。このあたりが満たされれば、育児休業明けの社員への不満は多少は、消えていくのではないか。それは、彼女の言葉の端々や表情などから感じた。

 今回紹介したケースには、前回の記事に近いものがある。前回は、うつでの休業を終え、復帰した社員のその後の扱いに怒りを持っているようで、実は自分の待遇面に不満を持っている社員たちを取り上げた。人事権を握る役員たちには何も言えないがゆえに、言いやすいうつ病の社員にその不満が向かうという構造である。小中学校でのいじめに似ているが、もっと巧妙に覆い隠されている。

 会社員は、役員や人事部、管理職などから、自らの不安や不満がはっきりと改善されるような道筋が提示されないと、悶々とした思いを持つ。それが怒りとなり、その状況をつくった社員に向かう。

 正確に言えば、この場合はその社員そのものがつくったのではなく、「育児休業明け社員」「うつの休業明け社員」という役割がつくったのだ。小中学校でのいじめにたとえると、「成績が優秀で目立つ」といった位置づけ、つまりはイメージに近い。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

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