>>前編「育休明け社員に寛容な女性課長の黒い本音」(上)から続きます。

 この場合の「優秀な人」とは、自分のことを意味しているのだと筆者は思った。これに近いことは、専任部長も40代の社員たちも口にする。

「みんなで支え合おう、ファシズム」
の本音は「厄介者は追い出したい」

 女性課長など、これら一連の社員たちは、育児休業明けの社員そのものに不満を持っているのではない可能性がある。もちろん、仕事が押し寄せることには憤りを覚えている。各々のホンネは正確にはわからないが、おそらく、女性課長がいみじくも口にするように、何よりも「もっと自分に見返りを」を求めているのである。

 つまり、「早く出世させてよ」「もっと給料を上げろ」「もっと自分を認めろ」と言いたいのだろう。このあたりが満たされれば、育児休業明けの社員への不満は多少は、消えていくのではないか。それは、彼女の言葉の端々や表情などから感じた。

 今回紹介したケースには、前回の記事に近いものがある。前回は、うつでの休業を終え、復帰した社員のその後の扱いに怒りを持っているようで、実は自分の待遇面に不満を持っている社員たちを取り上げた。人事権を握る役員たちには何も言えないがゆえに、言いやすいうつ病の社員にその不満が向かうという構造である。小中学校でのいじめに似ているが、もっと巧妙に覆い隠されている。

 会社員は、役員や人事部、管理職などから、自らの不安や不満がはっきりと改善されるような道筋が提示されないと、悶々とした思いを持つ。それが怒りとなり、その状況をつくった社員に向かう。

 正確に言えば、この場合はその社員そのものがつくったのではなく、「育児休業明け社員」「うつの休業明け社員」という役割がつくったのだ。小中学校でのいじめにたとえると、「成績が優秀で目立つ」といった位置づけ、つまりはイメージに近い。