ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

20代高学歴女性を飼い殺す大企業のホンネ(下)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第7回】 2015年3月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

>>(上)より続く

A氏 あの女の子たちは、素敵な彼氏をみつけ、旦那さんをみつけ…子どもをつくり、その生活を支える収入の一部をあの会社でもらうことができれば、OKなんですよ。家のローンや、金融機関のカードのローンもつくりやすいから、夫を支える意味では申し分なし。男のように、バリバリと働くことも求められていない。

 それで、みんな大きな不満はないわけですよ。「不満があるならば、辞めれば…」というのが、上層部の考えだから。実際、意識の高い女性は辞めていく。だけど、ほんの一部。多くは、「赤ちゃんができました!」とか、「今日のランチはこれ!」とFBで騒ぎ合う。

 会社は、それを新卒の求人広告に載せる。FBで、あの女たちを泳がせておくのも、会社の上層部の戦略。学生や転職希望者が見て、「女性が働きやすい職場」って思えば儲けもの。彼女たちは、しばらくすると結婚し、出産。1年後に復帰すると、リーダーという肩書はそのままだけど、実質的に降格。上層部はつまんない仕事をさせて、「辞めてほしい」と密かに願う。

筆者 なるほどね。

流行の「女性の職場進出」の中身は
30年前と変わらない旧態依然

A氏 今の時代はそのまま、しがみつく女性が多いから、会社としてはとりあえず残しておく。まして、いったんあの会社で満たされた労働環境を知った場合、あえて辞めていくことは可能性としては相当に低い。しかも、家庭を持っているとね…。

 その後、30代半ばぐらいに、時短社員などに転換するように促し、単純作業をさせて、安い賃金でこき使う。20~30代の女性社員のうち、5~7割はこのレベルだね。ごく一部のエリートを男性のエリートと同じように、幹部候補として課長にしていく。さらにトップエリートが部長、本部長になる。こうなると、まさに男と同じことを求められる。

 あの会社では、今、騒がれている「女性の職場進出」は、このような30~40年前に進められた「女性の職場進出」と同じ文脈で進められているんですよ。それが、巧妙になっているだけ。そのことに、20~30代の女性自身は気がついていないのでしょう。だけど、あの社長や側近は、そんなホンネは言わない。ここでも、「翻訳」をするから。

筆者 レトリック?

A氏 そうですね。「女性の職場進出」を突き詰めると、会社にぶら下がらない、職業意識を持たないといけない。会社にどっぷりとつかる、いわば、「メンバーシップ」ではなく、職業意識を持ち、職業を切り口に会社と関わる「ジョブ意識」になるのが、自然の流れかもしれないですよね。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

⇒バックナンバー一覧