>>(上)より続く

A氏 あの女の子たちは、素敵な彼氏をみつけ、旦那さんをみつけ…子どもをつくり、その生活を支える収入の一部をあの会社でもらうことができれば、OKなんですよ。家のローンや、金融機関のカードのローンもつくりやすいから、夫を支える意味では申し分なし。男のように、バリバリと働くことも求められていない。

 それで、みんな大きな不満はないわけですよ。「不満があるならば、辞めれば…」というのが、上層部の考えだから。実際、意識の高い女性は辞めていく。だけど、ほんの一部。多くは、「赤ちゃんができました!」とか、「今日のランチはこれ!」とFBで騒ぎ合う。

 会社は、それを新卒の求人広告に載せる。FBで、あの女たちを泳がせておくのも、会社の上層部の戦略。学生や転職希望者が見て、「女性が働きやすい職場」って思えば儲けもの。彼女たちは、しばらくすると結婚し、出産。1年後に復帰すると、リーダーという肩書はそのままだけど、実質的に降格。上層部はつまんない仕事をさせて、「辞めてほしい」と密かに願う。

筆者 なるほどね。

流行の「女性の職場進出」の中身は
30年前と変わらない旧態依然

A氏 今の時代はそのまま、しがみつく女性が多いから、会社としてはとりあえず残しておく。まして、いったんあの会社で満たされた労働環境を知った場合、あえて辞めていくことは可能性としては相当に低い。しかも、家庭を持っているとね…。

 その後、30代半ばぐらいに、時短社員などに転換するように促し、単純作業をさせて、安い賃金でこき使う。20~30代の女性社員のうち、5~7割はこのレベルだね。ごく一部のエリートを男性のエリートと同じように、幹部候補として課長にしていく。さらにトップエリートが部長、本部長になる。こうなると、まさに男と同じことを求められる。

 あの会社では、今、騒がれている「女性の職場進出」は、このような30~40年前に進められた「女性の職場進出」と同じ文脈で進められているんですよ。それが、巧妙になっているだけ。そのことに、20~30代の女性自身は気がついていないのでしょう。だけど、あの社長や側近は、そんなホンネは言わない。ここでも、「翻訳」をするから。

筆者 レトリック?

A氏 そうですね。「女性の職場進出」を突き詰めると、会社にぶら下がらない、職業意識を持たないといけない。会社にどっぷりとつかる、いわば、「メンバーシップ」ではなく、職業意識を持ち、職業を切り口に会社と関わる「ジョブ意識」になるのが、自然の流れかもしれないですよね。