海外の最新のガジェット(小物の電子機器)情報に敏感なアンテナを立てる中国メディアは、米国などで話題となるキンドルやiPadにも当然注目をしている。

 中国において注目が集まる海外製品あらば、広東省深センの工場群から出荷された「山寨機(発音はシャンジャイジ)」ことソックリ製品が市場に流れ、その一方で待ちきれない中国の消費者をターゲットに、高いマージンを付加した価格で、「淘宝網(TAOBAO)」などのオンラインショッピングサイトに輸入版が出品される。その後を追い、中国メーカーが「人気ガジェットモドキ」を自信の製品とばかりに発表、販売する。キンドルやiPadもやはりこの流れであった。これには、本家が中国向け公式製品をリリースしたころには、既に欲しい人にはなんらかの形で行き届いているため、意外に売れないというオチがつく。

山寨機の聖地と呼ばれる深センで、多数登場した電子ブックを紹介する記事

 山寨機という言葉は、中国で流通する携帯電話でよく使われる言葉であり、中国のモノ作りを語る際には欠かせぬ言葉である。「中国で1億5000万人に普及! 廉価携帯「山寨機」が与える由々しき影響」という記事で、携帯電話の山寨機について執筆したが、一般的にはノンブランドのメーカーの製品を山寨機と呼ぶ。

 過去には携帯電話以外にも、MP3プレーヤーやPND(ポータブルナビゲーションデバイス。簡易GPS)、デジタルフォトスタンドなど様々な製品が、有象無象の工場から出荷され、そして今もそれは都市部、農村部問わず流通している。中国メーカーの製品も付加価値のある日本メーカーの製品に比べれば安価ではあるが、山寨機はその中国メーカーの製品をも上回る安さがため、ブランドを気にせぬ一部の(それでいて数千万、数億単位の)消費者に受け入れられ、製品ジャンルは中国でも確立する。