いま、空前のペットブームと言われている。猫の特集を組んだ女性誌が完売し、街には保護犬猫カフェが増え、散歩代行やしつけ教室など、様々なペット関連産業が隆盛だ。ペットの飼育数を見ても、犬は微減だが、猫はここ数年増加の一方。今やペット業界は拡大一方と言ってもいいほどだ。

 その半面、課題も浮上している。可愛くて飼い始めたものの、病気や引越しで泣く泣く手放さなければいけない。そんなケースも少なくないのだ。最も深刻な問題は、「飼い主自身の高齢化」である。

 飼い主自身も年をとれば、病気やケガにかかる可能性が高まる。ある日突然、ペットの世話ができなくなればどうすればいいのか。同居家族がいれば世話を頼めるが、若い世代は仕事が忙しく満足にケアできないこともある。ご近所にお願いしたくても、日頃から相応のつきあいがないと難しい。

 特に厳しいのが、独り暮らしの場合だ。ペットホテルに預けたり、シッターに来てもらったりすることはできるが、どうしても高額な費用がかかってしまう。こういった問題をなんとかできないかと活動をしているのが、NPO法人「ペッツ・フォー・ライフ・ジャパン(PFLJ)」だ。

PFLJのペット飼育支援保険担当・曽谷圭祐さん。ドッグトレーナーの資格を持ち、犬の性格や体調を見て、こまめに対応をしている

 PFLJでは、「ペット飼育支援保険」というサービスを展開している。

 この保険は、飼い主の非常時に備えるもので、年間1万2000円の会費を払えば、入院などの緊急時に最長3ヵ月まで動物を預かってくれる。

 原則として室内犬を対象としているが、猫も相談に応じている。預かり条件としては、去勢・避妊手術を行っていること、予防接種をしていること、室内飼いであること、そして極端な攻撃性がないことなどだ。

 預かり料は、会員歴とペットの体重によってスライド式になっており、例えば、会員3年目で5kg未満の場合、1日1200円。5年目になると400円。10kg未満は3年目で1350円、5年目で450円となっている。

「PFLJは設立当初、飼育放棄によって保健所などに持ち込まれるペットの数を減らすことを活動目標にしていました。そのころは動物の問題行動が飼育放棄理由の1位で、それを未然に防ぐ講習会や、子犬の社会化教室を開催し“飼う準備”を中心に活動してきたのです。ところが徐々に、高齢の飼い主の病気や施設への入所をきっかけに救援を求められるケースが増えてきて、試行錯誤を重ねていった結果、現在のサービスに至ったのです」(PFLJ 曽谷圭祐氏)