言い換えれば、こういうことになる。ビジネスのアイディアに関して言えば、思いつくのは簡単だ。しかし、それを実行できる人間は極めて少ない。「10人いたら、せいぜい2人ですよ」と中田氏は言う。

 さらに言えば、実行した2人のうちで、成功するのはたったの1人。つまり、自分はこの1人に絶対になれると強く信じられる人間だけが実際にくじを引き、成功者の階段を上っていく。そのように考えると、「くじを引けば9割成功」という感覚も、わかるような気がする。

 「ただし、成功するには自分が金儲けしたいだけじゃダメなんです」と、中田氏は念押しする。「それでは、ちっとも勇気が出ない」とも。

――ほかに、何が必要なんでしょうか?

 「周りの人や地元の町、ひいては国の役に立つ事業だと思えないと。自分一人金儲けするくらいじゃ、やる気にはならないね」

 2010年の時点で、中津川市の高齢化率は27.8%。現在は30%を超えていると推計されている。人口の約3分の1以上が高齢者という状況のなか、高齢者雇用の場を確保し、休耕田の解消に努め、生産から加工・販売、そして外食へと広がるサラダコスモのビジネスは、6次産業化のモデルケースとも言える。

 むろん、似たような取り組みは日本全国に数多くある。しかし、成功しているところは少ない。なぜ、ちこり村は成功できたのかと尋ねると、中田氏はまじめな顔でこう言った。

 「本気だからですよ」

パラグアイの農場を歩く中田社長

 2000年、岐阜県から「緊急時の食料確保のために協力してほしい」という依頼があって設立した「ギアリンクス」も、日本から移民した南米の農家に安定した職と収入をもたらしたいという狙いがあって始めたものだ。「サラダコスモ」は36年間連続の黒字だが、こちらは16年間も赤字続き。それでも諦めずに夢を見続けていられるのは、自分だけではない、ほかの誰かのためにも役に立つという確信があるからだ、という。

 ところで、そんな中田氏がずっと心に秘めたライバル企業がある。それはかなり意外な企業だった。最終回は、その世界的企業をライバルと定めた原点を聞いていく。

※最終回は10月7日(金)公開予定です。

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