相続税手続き不要という長年の夢がかなったと思ったが……
SRRV預託金をDBPに預けた場合、PRA名義の口座に振り込むのだから、その引出しはPRAの一存ででき、通常の相続手続きは不要になるはずだ。それに対して一般の銀行だと本人名義の預金になるから、名義人が死亡した場合の主な手続きだけでも下記が必要となる。
1.銀行の預金証明
2.相続人による遺産相続の新聞広告
3.故人に他に遺産が無いという証明書
4.相続税の支払いと税務署(BIR)の証明書(CAR) の取得
5.相続保障の取得
などなど、すべての手続きが完了するまで3カ月から半年を必要とするが、DBPならその一切が免除される見通しだった。なぜなら口座名義人はPRAであり、預金者本人が亡くなった場合の相続とは意味合いが異なり、もろもろの提出書類はあくまでもPRAが正統な相続者に預託金を引き渡すための判断材料であり証明に過ぎないはずだからだ。
一切の書類を揃え、フィリピン人妻のインタビューを経てビザ取消の申請を行ない、待つこと2カ月強、預託金の全額がフィリピン人妻の口座に振りこまれた。相続税を支払わずに済んだフィ リピン人妻の喜びは言うまでもないが、これは画期的なことで、「SRRVの預託金には相続税がかからない」という長年の懸案あるいは夢がかなうことになったのだ。
しかし、ことは意外な方向に展開していった。同じ方法で預託金の返還を請求した次の方が、3カ月近くたってもPRAから音沙汰がなく、確認すると、担当者から言いづらそうに「税務署に相続税を支払ってCAR(相続税等の支払い証明書)をもらってこなければ、預託金の支払いはできない」と告げられたのだ。
税務署からCARを取得するのは容易ではないのだが、PRAの担当者はそのことを知らない。単に相続税を支払えばよいと思っている節がある。税務署に税金を支払うということは相続に必要なほとんどすべてのプロセスを行なうことになり、その準備だけでも優に2~3カ月はかかってしまうのだ。
しかし、PRAの担当者をいくら責めても埒はあかない。上司がかなりの時間をかけてDBPと話し合った結論なのだ。相続人はもちろん、相続税を支払わなければならないことと、その準備にかかる費用に怒り心頭に発していたが、我慢してもらうしか方法がなく、もう一息で預託金の支払いが行なわれるところだっただけに不運としかいいようがない。
これもドゥテルテ就任の逆効果なのか、入管のビザ延長手続きなどはたいへんすみやかになったと聞くが、それは表向きで、その裏では退職者が泣きを見るケースがある。SRRV取得のために日本から預け入れた預託金に、なぜフィリピン側で相続税がかかるのか。PRAとしては、SRRVをより魅力的なものにするために是非ともルールないし必要ならば法改正のアクションをとって欲しいと願うばかりだ。



