フィリピン退職庁の長官に直訴する
その後、昨年のクリスマスを前にPRA副長官と面会する機会があった。目的は私の「マーケッター公認」の更新で、PRA長官の交代にともない、マーケッターと対話する機会をつくるというの意味もあるらしい。「より多くの外国人にSRRVを取得してもらうためにアドバイスはないか」と尋ねられたので、ここぞとばかりに日ごろ胸に秘めている2点を提案した。
1.SRRV発行期間の短縮。公には3~4週間となっているが実際はそれを大きく超え、4~6週間かかるという悲劇的状況にある。現役世代が取れる休みは2週間が限度なので、数年前のように2週間で発行するようになれば、SRRV申請者は倍増するであろう。
2.DBPに預けられた預託金の相続。退職者が亡くなった場合、従来、相続人は相続税を支払うことなく、PRAに所定の書類を提出するだけで、2~3カ月後、預託金を満額受け取ることができた。しかし現在、税務署からCARを取得してこいとの指示があり、各種相続手続きの実行を求められ、預託金の20~40%の費用と6カ月程度かかる手続きを余儀なくされている。このことによる相続人の落胆は計り知れないものがあり、SRRVの価値を大いに損なう結果となっている。
これに対し副長官からは、
1.発行期間の短縮については、入管とも連携して大幅に短縮する手立てを打っている。
2.預託金の相続については、善処したいが詳細を記載したレターを提出して欲しい。
との要請があった。
当初はPRAを批判するようなレターを送るのは躊躇したが、SRRVの魅力を回復しより多くの退職者をフィリピンに招待するするためには避けることができないと考え、長官宛てのレターを提出した。
これによって近い将来、相続手続きが元の状態に戻ることを期待したい。PRAの存在を規定する法律Executive Order 1037のSection9では、SRRV取得のために海外から送金したお金は本国送還を保証するとなっているが、相続人が受け取る場合はどうなのか明確にされていないのだ。
(文/志賀和民)
著者紹介:志賀和民(しが・かずたみ)
東京出身。東北大学大学院修了後、日揮(株)入社。シンガポールをかわきりに海外勤務を歴任。1989年日揮関連会社社長に就任しフィリピンに移住。2007年4月PASCO(サロン・デ・パスコ)取締役。
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