問題が複雑な国境税調整は簡単には進みそうもない。それでも、既に政策期待で企業も消費者も景況心理を改善させている。政策が段階的に実現すれば、今年遅くから来年に米成長は3%超へ押し上げられよう。

 FRBは、2015、16両年末、米景気は鈍かったのに、市場のリスクオンに乗じて、利上げを敢行した。今年、トランプ政権による財政政策で景気が補強されるなら、利上げテンポが速まるとの見方は自然だろう。

 利上げは、今年は3月に続いて6月と9月の3回、来年は四半期ごとに計4回あると予想している。ドル円は3月利上げで115円をトライし、6月の利上げごろに115~118円で堅調さを増し、9月の利上げごろ以降に120円台を突っ掛けるイメージである。

 円高ドル安論には現段階では賛同しない。トランプ政策を悲観視するドル円下落論には、なぜそれが米政策の段階的実現より優勢だといえるのかを問いたい。米政権が人事上の問題等で運営不能になる事態も、可能性ゼロとはいえないが、それを理由に投資ポジションをつくるメーンシナリオとしては扱えない。

 1993~94年を引き合いに、米利上げ過程でドル円が下落するとの見方も、なぜ米景気サイクル前半のドル安の事例を、今年のようなサイクル後半戦に当てはめるのか、違和感がある(この点は2月13日の本欄で論じた)。

(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー 田中泰輔)

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