14年担当した本欄も最終回。何度も登場させた米経済・市場サイクル図で2021年の展望を総括しよう。筆者にとっては三十余年も相場の大波乱を乗りこなした「透視眼鏡」だ。

 上図(次ページ)は、米景気サイクルを5局面「軟化→下降→回復→加速→成熟」に分けている。景気に先行する株式相場は、景気下降期に金融相場で上昇し、景気回復期の終盤に利上げが始まるまで続く。その後、利上げが進んでも株高になる業績相場へ続き、金利が景気中立レベルを超えると反落する。

 政策金利は景気サイクルに遅行し、ドル相場は政策金利に遅行しがちだったが、ここ10~20年は低インフレで景気加速~成熟期の株価、金利、ドルが連動しやすくなった。

 コロナ禍経済(次ページ、上図赤線)は通常のサイクルではない。それが今、回復サイクルに戻る前夜まで来た。昨年春先に経済は突然封鎖で急落、6~8月の急反発は単に活動再開であってV字回復などではなかった。デフレギャップ(需要不足)のまま21年に景気二番底になるところを財政政策で支えた形だ。春に向けて、冬季新型コロナウイルス感染拡大が峠を越え、ワクチン接種が進み、景気自律回復始動の条件が整うところに、米国の200兆円の追加景気対策が強力な後押しとなる。