ドル円相場は、米大統領選挙後から2カ月急騰し、次の2カ月は1ドル=110円台前半で膠着した。しかしこの調整地合いもそろそろ終わるとみる。米大統領は、2月28日の議会演説で、中間層優遇税制、法人税減税、国境税調整、インフラ投資などについて具体的な言及をしなかった。

 しかし、大統領の公約は議会共和党案と擦り合わせつつ、部分的にせよ、実現していこう。その安堵からか市場はリスクオン機運を取り戻し、FRB(米連邦準備制度理事会)は3月15日に利上げに踏み切ろうとしている。

 ドル円相場の方向を規定する第一要因は米景気・金利動向である。昨年を通じて、米景気サイクルにはピーク感がにじみ出て、ドル円は100円近くからの反発力が出ないまま90円台へ下落すると判断された。しかし今年、トランプ共和党政権と共和党優位の上下両院という体制下で、財政政策による景気浮揚が期待される。

 トランプ大統領の「歴史的な税制改革」には、議会との調整や法整備など実現への不確実性がまだくすぶることは確かだ。しかし、ある程度現実的な想定として、6月あたりに中間層優遇税制法案の発効、年末までに何とか法人税減税の成立(恒久措置にするには共和党51議席の上院で60票以上を必要とするが、インフラ整備計画とセットで超党派合意が可能とみる)を期待する。