2万円目前で足踏み状態が続く日経平均株価は、2017年後半にかけて2万円を大きく超えることができるのか? 5人の「先読みの達人」が2017年末までの日経平均株価と日本株の行方を大予測!

ダイヤモンド・ザイでは、「2017年末までの日本株大予測」という特集の中で、株の買い時と投資戦略を徹底分析している。今回はその中から抜粋して、5人の「先読みの達人」の日経平均株価の予測と、達人の1人であるレオス・キャピタルワークスの藤野英人さんの投資戦略を紹介しよう!

日本企業の業績好調が続き、
2017年末には、日経平均株価2万1000円超えの可能性も!

 北朝鮮危機やフランス大統領選挙前のリスク回避の動きから、日経平均株価は4月にいったん1万8224円まで下落。しかし、フランス大統領選挙の結果や、北朝鮮危機への慣れもあって、株価は反転し、5月16日には一時1万9998円まで上昇した。今後は、2万円を大きく超える展開となるのだろうか?

 強気の予想をするのが、野村證券の若生寿一さんだ。

 「製造業を中心に日本企業の利益率が改善していることに加え、世界的に景気回復局面に入っており、2018年3月期は2ケタの増益が期待できます。日経平均株価の1株利益も1400円程度が見込めることから、過去3年間のPERの下限である13倍で計算しても1万8000円台で、この水準を大きく割り込む可能性は小さい。年末には2万1000円までの上昇もある」

 一方で、レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんは先行きの景気を懸念する。

 「今後の展開を読むのが難しい局面です。経済指標が良すぎで、いったんは景気がピークアウトする可能性があります。しかし、仮にそうなっても景気の腰折れとまではいかず、再び景気は戻り、日経平均株価も年末には2万円台を回復するでしょう」

トランプ政権リスクで当面は株価調整へ!
北朝鮮リスクがない限り、10月頃に上昇の可能性も

 また、みずほ証券の菊地正俊さんはトランプ政権の求心力低下などで、当面は上値が抑えられる展開が続くと見ている。

 「米国の税制改正は財務長官のムニューシンなどが8月頃には具体策を出せると言っていますが、ヘルスケアプランが議会で多数派を形成できなかったことからもわかるように、簡単には議会で承認されないはず。さらに、中国の金融引き締めや世界経済の減速懸念など、秋までは株価調整要因となるイベントが多い」

 加えて、北朝鮮危機も今後の相場に与える影響は大きい。パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直さんは、次のように忠告する。

 「現在の米国政権の中枢には軍関係者が多く、北朝鮮の米国まで到達可能な核ミサイルの開発を容認するようなことは、決してありません。一部では、今後半年ほどで米国まで到達可能な大陸弾道弾ミサイルの開発が可能との見方もあり、この間にトランプ大統領が先制攻撃するようなら、日経平均株価が大幅に下落する可能性もあります」

 しかし、北朝鮮危機がない限り、原油価格の底打ちが日本経済へ好影響を与えており、株価はいったんは調整するものの、10月頃には再び上昇へ転じると宮島さんは見ている。

 第一生命経済研究所の永濱利廣さんも政治イベントなどで円高が進み、日本株もいったんは調整すると予測。しかし、米国景気も底堅いことから、利上げが行なわれ、日米の長期金利の金利差拡大から、ドル高円安となり、日経平均株価も2017年末には上昇基調へと転じると見ている。

 「年末には米国の税制改正やインフラ投資の具体策が見えて、米国経済の先行きは明るい。そうなると、いったんは円高が進んだとしても1ドル=105円程度で、年末には115円程度まで円安が進むでしょう」

 当面は株価調整の可能性が高い日本株だが、どのタイミングでの買いが最適で、どういった銘柄が上昇するのか。ダイヤモンド・ザイでは、今回日経平均株価の予測をしてくれた「先読みの達人」5人の投資戦略を掲載しているが、ここではその中の1人であるレオス・キャピタルワークスの藤野英人さんの戦略を紹介しよう。

株式市場の行方が不透明な時こそ、
中小型株へ乗り換えろ!

 「各種の経済指標を見る限り、国内外の経済状況は絶好調ですが、さらに良くなるのか、悪くなるのかは見通しにくい状況です」と語るのは、レオス・キャピタルワークスの藤野さん。

 懸念材料のひとつとして藤野さんが挙げるのがデフレ意識の高まりだ。4年連続ベースアップが実現し、失業率も低水準だが、国内消費は一向に上向かない。それどころか、「景気がいい時には増えるステーキやハンバーグなどの外食メニューの売上げが落ち込み、逆にスーパーでは、景気が悪いと買われる『もやし』が飛ぶように売れている。国民が無意識に消費を抑える動きが濃厚になっているのです」(藤野さん)。

 景気の腰折れとまではいかないが、景気がピーク圏にあることから、いったんは下向きになる可能性もある。このように景気の先行きが不透明な状況では、株価は上がりにくいと藤野さんは見る。

 「特に大型株は、『東芝(6502)』や『日本郵政(6178)』、『富士フイルムHD(4901)』など、大型M&A(企業の合併・買収)に失敗して巨額損失を抱えた企業が相次いだことが嫌気されています。トランプ政権による大型減税やインフラ投資の実現といった大きな材料がなければ、株価が大きく上昇する期待は薄いでしょう。こんな時こそ、景気に関わらず安定需要が見込める業種や、独自の成長力で業績を伸ばしている中小型株に着目すべきです」

藤野さんの今後の投資戦略とは?
需要増加中の「半導体」「ゲーム」関連を狙え!

 そんな中、藤野さんが注目する業種のひとつが、「半導体」だ。

 「グーグルやフェイスブックなどがユーザー数や利用量の激増とともにサーバーを増やしているほか、中国で格安スマホの生産量が伸びていることで、世界的に半導体需要が高まっており、この流れは当面続くでしょう」

 次に、復活が期待できそうなのが、「ゲーム関連」だ。「任天堂(7974)」が今年3月に発売した新型ゲーム機「スイッチ」の売れ行き好調が続いている。

 「家庭ではテレビで、外出時には携帯ゲーム機として楽しめるというスタイルが受けたのか、予想を超えるヒットとなりました。スマホゲームに飽き足らず本格的なゲームが楽しみたいという層が増えてきているのかもしれません。近年、専用ゲーム機はスマホゲームに押されて苦戦してきましたが、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった新技術の投入とともに、逆襲が期待できそうです」

 また、トランプ政権が目指す巨額インフラ投資や、中国の「一帯一路(※)」構想など、世界的にインフラ投資の動きが加速しそうな状況を考えると、「直接的な恩恵を受ける建機などの業績も好調が続くでしょう」と藤野さんは語る。

 当面はこれらの業種や成長性の高い中小型株を中心に買い、「2017年後半に入って米国の大型減税やインフラ投資などが具体化してきたら、それらの材料に敏感に反応する大型株を買うというのが有効な戦略です」と藤野さんはアドバイスする。

※中国が世界経済の中心的地位を占めていた古代のシルクロード再現を意識しながら、アジア、ヨーロッパ、アフリカ大陸に跨がる一大経済圏の構築を目指す構想。

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