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日本郵政の野村不動産HD買収の成否と、将来の株価の
行方を分析! 海外子会社の減損処理で赤字転落した
日本郵政は野村不動産HDの買収で巻き返しなるか!?

2017年5月19日公開(2017年11月20日更新)
ザイ編集部
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2015年に買収したオーストラリアの物流子会社、トール・ホールディングス(以下、トール)の業績不振の影響で4000億円もの減損損失を計上した「日本郵政」。2017年3月期の当期利益は、2016年3月期の4260億円の黒字から一転、290億円の赤字に。しかし「日本郵政」は、トール買収の失敗に懲りず、新たに「野村不動産ホールディングス」の買収策を打ち出した。

政府肝いりで株式市場にデビューしてからわずか1年半。“お堅い”と思っていた「日本郵政株」は保有を継続してもいいのか? それとも売ったほうがいいのか? また、今後も「高配当」は継続されるのだろうか? 5月20日(土)発売のダイヤモンド・ザイ7月号に掲載される、今後の「日本郵政株」の行方を徹底分析した記事を抜粋して公開しよう!

物流子会社の減損4000億円を計上!
「日本郵政株」はこれからも持ち続けて大丈夫?

 トールは、「日本郵政(6178)」が傘下の日本郵便を通じて、上場前の2015年5月に買収した案件。「日本郵政」の関係者は、「上場に向けて成長性を示すための“お化粧”だった」と明かす。国際物流分野に打って出るという成長ストーリーを掲げるため、西室泰三社長(当時)と総務省とで買収を決めてしまったという。

 ただし、当初から6200億円という買収価格が高すぎると疑問視されていた。買収額と純資産との差である「のれん代」が4700億円にも上り、これを20年かけて償却していく予定だった。ところが、「トールの実態は鉄鉱会社。物流会社としての実力はさほどない」(物流関係者)こともあり、資源価格の下落で業績は急激に悪化してしまう。買収前には390億円あった営業利益は、2017年3月期は56億円と激減。将来キャッシュフローが目減りし、減損テストに引っかかってしまったというわけだ。

 今回の減損処理については、「20年かけて償却する予定だったのれん代を前倒しで一括償却したことはポジティブに評価したい」(東京・IPOフィナンテックの松尾範久さん)という声も多い。では、不安材料でもあったトールの膿を出し切ったいまこそ、「日本郵政」は買いと言えるのだろうか。

 「日本郵政」の人気の一つに配当利回りが3.55%と高配当な点が挙げられる(5月8日時点、以下同じ)。減損処理はあくまでも会計上の処理で、キャッシュアウトは伴わない。1株につき25円(中間と合わせて年間50円)の配当予想は据え置いたままなので、配当目当てであるならば、持ち続けてもよさそうだ。

 チャート分析で見ると、売りと買いが拮抗している状態。この先の方向性は、株価が上値の抵抗線を抜けるか下値の支持線を抜けるかで見極めたい。

 「上値抵抗線を抜けられれば、年内に1600円手前まで戻す可能性がある」(インベストラストの福永博之さん)。

 東京IPOの松尾さんも、「この先3~6ヵ月は、1200~1600円のボックス相場が続く」とみている。


※業績の会社予想や株価、PERなどは5月8日時点のデータ。以下同じ。
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政府が8割の株を握り、経営の自由度に制限!
「野村不動産」買収効果まで時間がかかる可能性も

 一方、「日本郵政」の成長性は乏しいと言わざるを得ない。いまだ政府が8割の株を保有しているため、「民業圧迫」との糾弾を受けやすく経営の自由度に制限があるためだ。

 グループの稼ぎ頭は、「ゆうちょ銀行(7182)」だが、民間銀行が行なっている法人向け融資や住宅ローンには手が出せず、収益の大半は、国債を中心とした運用益に頼っている。マイナス金利で国債の金利は下がり続けているため、収益はジリ貧傾向だ。 

 そんな「日本郵政」が新たに打ち出した成長戦略が、「野村不動産ホールディングス(3231)」の買収。市場関係者からは、「トールよりは、シナジー効果が高い」と評価する声も出ている。なぜなら「日本郵政」は、土地所有額は国内上場企業で6番目という土地持ち企業。保有不動産を開発して収益化できる余地が大きい。

 これまで不動産事業としては、東京、博多、名古屋、札幌の駅前一等地の不動産を再開発して収益化してきたが、「三菱地所(8802)」や「三井不動産(8801)」など外部のディベロッパーの開発力に頼ってきた。「野村不動産ホールディングス」の買収には、今後、保有不動産を収益化していくにあたって、開発ノウハウを自社に蓄積していきたいとの狙いがある。

 日本郵便は全国に2万4000の郵便局を抱えており、そのうち商業ビルやマンションへ開発することによって収益化が見込めるのは集配局の1000局。ほかにも、日本郵政グループで、逓信病院やかんぽの宿、社宅などの不動産を持つ。

 ただし、現在、不動産市況は過熱感があり、不動産会社の買収に適したタイミングであるのかは微妙なところ。加えて、正式発表前に買収のニュースが流れてしまい、5月15日には「野村不動産ホールディングス」の株価はストップ高をつけ、高値水準にある。トールの二の舞となって、高値掴みにならないか、そんな心配の声も上がっている。

 ストップ高をつけた「野村不動産ホールディングス」の株価とは対照的に、ニュースが出た後、「日本郵政」の株価はほとんど動いていない。

 東京・IPOフィナンテックの松尾さんは、「『日本郵政』が次々とM&Aに手を出すのは、資金が潤沢であるがゆえの結末に感じられる。『野村不動産ホールディングス』の価値や、収益にどう貢献するのかが具体的に見え、株価に反映されるまでには時間がかかるだろう」と言う。

 ゆえに、楽天証券チーフ・ストラテジストの窪田真之さんは、「『日本郵政株』を持ち続けるのであれば、メガバンク株に乗り換えたほうがいい」とアドバイスする。金融事業に制限の多い日本郵政グループに比べて、メガバンクであれば、法人融資や住宅ローンはもちろん、関連会社を通じて、遺言などの信託、証券業務、消費者金融など、金融事業全般を幅広く手がけており、マイナス金利下でも収益を上げていくことができる。

 例えば、「三井住友フィナンシャルグループ(8316)」は5月17日株価でPER9.2倍、PBR0.6倍。配当利回りは3.89%で、じつは配当利回りでも「日本郵政」と遜色ない。一考に値しそうだ。

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