(4)日本企業による外国人スタッフの
労働環境整備
日本企業による積極的な外国人雇用については、以前に何度も取り上げている(第8回などを参照のこと)。昨年、日本企業では世界共通の人事・評価システムを導入する動きが見られた。住友電気工業では、世界中に散らばる経営幹部の能力や希望などをデータベースで一元管理し、国籍や民族、宗教などを問わずに昇格できる制度を導入した。資生堂は日本と海外現地法人の課長級以上の幹部社員については人事評価の基準を統一。日立はマネジャー以上の管理職について職務権限や範囲に応じて世界共通の評価基準を導入する予定だ。これらは、日本企業が海外展開に外国人経営幹部の一層の登用が欠かせないとの判断で導入されたものである。
(5)新興国の積極的な
日本企業受け入れ態勢
このような日本企業の積極的な海外展開を、新興国は自国の産業集積を高める好機とみている。タイ投資委員会(BOI)はJBICと業務協力提携を結び、日本の中堅・中小企業にタイ進出を促している。また、バンコク銀行は山梨中央銀行、近畿大阪銀行と業務提携するなど、タイに進出する中小企業などへの情報提供や融資に積極的だ。
また、ベトナム政府は、日本企業専用の工業団地を整備する案を検討中だ。工業団地のほか、病院、レストラン、語学トレーニング施設など生活インフラを整備し、税制面など手厚い優遇措置を設ける計画だ。大手企業だけでなく、部品メーカーなど中小企業の誘致を促し、未成熟な国内産業の育成を狙っている。
日本企業の海外進出は、
日本社会の大改革の起爆剤となる
このような日本企業の積極的な海外展開は、日本社会を大きく変革させる可能性がある。政府は「空洞化」を防ぐことはできない。繰り返すが、グローバル競争に生き残るために行動する企業の動きを誰も止められないからだ。政府は、むしろ「空洞化」を前提として、法人税減税などの税制、金融規制、各種規制の撤廃などで日本企業が海外で得た利益を還流させて、国内を豊かにする施策を検討せざるを得なくなる。



