自民党に勝てる「シン・野党連合」を政治学者が大胆提言!政策“三本の矢”と意外なリーダーとは?Photo:Pool/gettyimages

自民党の支持率低下が著しいが、野党もパッとしない。立憲民主党の泉健太代表が、他の野党に共闘を呼び掛けたものの、否定的な態度を取られている。そこで本稿では、実現可能性を度外視して、政権交代を勝ち取るポテンシャルを秘めた「野党連合」の体制・政策・リーダーを大胆に提言してみたい。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

自民党支持率が低迷も
野党もまた然り

「パーティー券問題」で揺れる自民党の支持率低下が止まらない。時事通信が今年1月に実施した世論調査によると、自民党支持率はわずか14.6%。野党時代を除けば、1960年の調査開始以来、最低の数値だという。

 この機に乗じ、2月4日に開かれた立憲民主党の定期党大会で、泉健太代表は「政権交代を必ず成し遂げよう」と訴えた。また、衆院選で200人以上の候補者を擁立し、単独過半数を目指す考えも示した。

 さらに泉代表は党大会で、立民が単独過半数に達しなくても、特定の政策に絞って他の野党と手を組む「ミッション型内閣」を目指す方針も掲げた。

 だが泉代表の呼び掛けに、日本維新の会・国民民主党・日本共産党といった野党は否定的な態度を取っている。「総スカン」といえる状況だ。自民党のピンチに乗じて野党が結集する事態は、今のところ訪れていない。

 なお、時事通信が今年2月に実施した世論調査によると、自民党支持率はわずかに回復したものの、野党各党の支持率はいずれも4%を下回っている。実は野党の支持率も低迷しているのだ。その要因は、野党が打ち出す政策面に目新しさがないからだろう。

 というのも、自民党は日本国民のニーズに幅広く対応できる、政策的には何でもありの政党だ。野党との違いを明確にするのではなく「野党と似た政策に予算を付けて実行し、野党の存在を消してしまう」のが自民党の伝統的な戦い方である(第169回・p3)。

 現在の岸田内閣も、左派野党が「弱者救済」を訴えれば、「野党の皆さんもおっしゃっているので」と躊躇(ちゅうちょ)なく予算を付けて実行できる。その場合は、もちろん自民党の実績となる。左派野党は事実上の「自民党の補完勢力」と化しているのだ。

 先述した立民党大会で泉代表が訴えた「子ども・若者応援」「教育無償化」も、細部の差はあれど、すでに自民党が取り組んでいる。野党がそれらの必要性を叫んだとしても、実現すれば「自民党の手柄」になるだけなのだ。