また、政府はTPP(環太平洋経済連携協定)など貿易自由化を推進せざるを得なくなる。TPPに参加しなければ、日本企業はなんのためらいもなく、公平な取引条件を求めて、自由化の進んだ韓国などへ生産拠点を移転してしまうからだ。要するに、日本企業の海外展開によって、政府は企業が活力を発揮するための国内環境整備を行わざるを得なくなる。

 もちろん、日本企業の海外進出は、国内の雇用機会を減少させる。しかし、増える失業者は、新しい分野を成長させて吸収するしかない。日本はこれまで、安易な円安誘導政策による輸出産業保護を繰り返すことで、新しい成長分野の育成を怠り、産業構造転換の機会を失ってきた。企業の海外進出を止められない今こそ、産業構造転換の必要性という現実を直視する絶好の機会となる。

そして、日本の大学も変わらざるを得なくなる。現在、日本の大学は、日本企業の海外展開に適した人材を輩出できていない。これでは、日本企業がますますアジアの優秀な若者の採用を増やし、日本の若者の雇用機会は失われていくだろう(前連載第47回などを参照のこと)。

 今後日本の大学は、国際化を図るしかない。それは、ただ外国人留学生・外国人教員を増やし、英語での授業を増やすだけでは足りない。日本の大学では、依然として「ゆとり教育」の延長線上のような、横並びの平等教育が行われる傾向が強い。

 それを、リーダーシップがあり、組織経営のできる資質を持つ人材を育てて、社会に輩出していく教育に変えていかねばならなくなる。それができなければ、日本企業は日本の大学を見捨てる。志の高い若者は、日本の大学を無視して海外の大学を目指すだろう。これは、今後この連載で、しっかり論じるべきテーマの1つだと考えている。

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