このようなことが起こる原因としては、「人は、同時に評価する方が、総合的により合理的な判断ができる」という考え方や、「個別評価では評価が難しい、あるいは目につきにくい評価軸(先の実験例であれば不確実性や金銭の時間的価値の評価)を軽く見、評価がしやすい評価軸(給与が毎年上がるか下がるか)を重く見る」という考え方などが提示されています。
冒頭のケースに戻ると、Aさんは、2つのパッケージ案を同時に提示していることがうかがえます。しかし、現実問題として、通常、最終的に消費者が目にするのは1つのパッケージでしょう。しかも、「アンチエイジング」と「髪の成長に効果がある可能性あり」では、感じる効用のダイレクト感も違います。であれば、同時比較テストもさることながら、それぞれ片方を示したうえで、「買いたいと思うか?」などを質問するというテストも必要だったかもしれません。
商材にもよりますが、人間は瞬時の判断で購入の意思決定をすることが少なくありません。しかも、それは往々にして合理的にではなく、感覚的に行われます。世の中、常に時間をかけて合理的に判断する人ばかりではない、むしろそういう人間は稀であるという意識は持ってきたいものです。
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