陥りがちな思考の罠に迫る「カイゼン!思考力」。今回は、「選好逆転」を取り上げる。

――問題です

 以下のAさんの問題は何か。

 Aさんは消費財メーカーのマーケター。現在、新商品のパッケージについて検討中である。

「今回の新商品サプリメントの『Z』は2つの差別化要素がある。アンチエイジングの効果が高い成分が多いことと、毛髪の成長を活性化するかもしれないと言われている成分が多いこと。どちらを前面に打ち出すべきかしら? 2パターンのパッケージを(事前に加齢、毛髪の双方に悩みがあると応えた)想定ユーザー層に同時に見てもらった調査結果では、アンチエイジングの方を前面に出したパッケージの方が、55対45くらいで優位ってところかしら。個人的には、最初に別々に見た時には、毛髪の成長の活性化の可能性を前面に出しているパッケージの方がインパクトがあって良さそうに見えたんだけど、消費者がアンチエイジング前面の方が好みというのだから仕方がないわね。今回はアンチエイジングを前面に出すパッケージ案でいこう」