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「在職老齢年金制度」は定年後の働き方を左右する大事な制度! 進められている改正案の内容もチェック!

今回は、発売中のダイヤモンド・ザイ2月号から、連載「本誌60歳部員の同時進行ドキュメント 定年退職までのロードマップ」の第12回を抜粋!

この連載では、2020年3月に定年退職となるダイヤモンド・ザイ編集部の「ハラダ部員(60歳)」が、老後のお金の不安を解消すべく奔走する様子を、同時進行で赤裸々に公開している。第12回のテーマは「在職老齢年金制度ってなんだ? どうなるの?」。

「在職老齢年金制度」とは、一定以上の月収がある働く高齢者の年金を減らしたり、支給停止したりする制度。しかし、この制度の改正を巡って議論が紛糾している。今回は、ニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫さんが、制度の概要や改正のポイントをハラダ部員にレクチャー。60歳以降の働き方、年金の受け取り方などで迷っている人は、参考にしてほしい!

昔は「在職老齢年金」と言えば、もらえるものだった!
今は、名前は同じでも年金が“減額”される制度なので注意

編集部員・ハラダ

 いま、「在職老齢年金制度」の見直しが議論されている。この制度は、一定以上の月収がある働く高齢者の年金を減らしたり、支給を停止したりするもの。

 実はオレ、この制度の名前を初めて聞いたときには、「お、働いていればこんな年金がもらえるのか! こりゃラッキー」って思ったぜ。でも、そーじゃないんですよね、ニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫さん。

 「もともとは働いている高齢者の人がもらえる年金の制度でしたが、途中で役割が変わったのです」(中嶋さん)

 昔の年金制度では、年金がもらえるのは「年齢」に加えて「退職」も条件だった。働いている高齢者は年金がもらえなかった。ただ、低賃金で働いている高齢者も多く、これではとても暮らせないということで、支給されたのが「在職老齢年金」。高齢者間の平等性を保つための特別な年金だった。

 ところが、1985年の基礎年金制度の導入時に退職条件が廃止され、働いている高齢者とそうでない高齢者との間で、格差が生ずることになった。そこで使われたのが「在職老齢年金制度」。制度名は変わらず、でも当初とは真逆の役割を担うことになった。ヤヤコシイ。

 「本当なら、『在職老齢年金減額制度』とでも名前を変えるべきだったけど、でも『減額』なんて、みんな嫌ですよね」(中嶋さん)

 特に政治家が嫌がった。で、オレのように誤解する人間が出てきてしまうことに。ちなみに、中嶋さんがこの件でセミナーを行う際は、「在職老齢年金(減額)」と書く、とのこと。

在職老齢年金制度は今後改正される見通しで、
働きながら年金がもらえる高齢者が以前より増えることに

 現状では、60~64歳の在職高齢者は「月収が28万円超」で、65歳以上の在職高齢者は「47万円超」で年金がカットされる。しかし、現在この基準の見直しが進められており、65歳以上は現状維持で、60~64歳は、65歳以上のカット額と同額の47万円超に引き上げられる案が有力だ。

 以下に、今回の見直しで、在職高齢者の状況がどのように変わっていくかを示した。

 現状は全体の5割超の人の年金がカットされているが、今回の見直し案が通れば、カットされる人は全体の2割弱まで減る。見直しを主導する厚生労働省としては、年金がカットされる月収額を引き上げることで、高齢者にもっとガンガン働いてもらい、保険料を払う担い手を増やしたい意図がある。ただ、そううまくいくかは神の味噌汁、いや神のみぞ知る。

見直しで不公平感が強まる可能性も…?

 引き上げる方針は以前から決まっていたのだが、反対する意見は根強い。いわく、引き上げると、全体の年金支給額が増え、年金財政は悪化する。結果、今の現役世代、将来年金を受け取る世代の年金額が減ってしまう恐れが強まる。また、高給取りの高齢者とそうでない高齢者との格差が広がる……。

 ただ、今回の見直しで増える支出は最大で4000億円程度。たしかに巨額だが、公的年金の年間給付額は約50兆円。その1%にも満たない。中嶋さんは「引き上げても影響はほとんどない」という。

 でも、「金持ち高齢者の優遇だ!」という反発は必至だし、おまけに「年金財政の悪化で保険料の引き上げの恐れがあることから、経団連も反対の立場」(中嶋さん)。これじゃあ政治家はビビりますわ。実際、引き上げ額は当初62万円だったところから、51万円、さらには47万円へと、どんどん後退してきている。

 てなわけで、この見直し、これからも二転三転するかもしれない。今後どーなるか? ウォッチして何かあったらまたご報告します。
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今回の結論:定年後の働き方が変わってくるかも

 「長い目で見れば在職老齢年金制度は縮小に向かっている」と、中嶋さん。年金を受け取りながら、働くことで年金の担い手にもなる高齢者を増やそうというわけだ。オレもガンガン働こうかなー、けちくせー会社だけど(嘘ですよ、社長)。

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