政府は8月17日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の一部を改定しました。
改定前から、軽度であっても症状が現れた場合には、早期の受診と医療機関での抗原簡易キット(抗原検査の簡易キット)などを活用した迅速な検査を促すことが明記されていました。それに加えて8月17日の改定では、職場で発熱などの症状が見られる従業員や、大学、高等学校での軽症状者に対する抗原簡易キットを活用した検査を奨励することが追加されました。
さらに8月25日、政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を再度改定し、夏休み明けの学校における子供の感染拡大を防ぐために中学校、小学校、幼稚園などに対して最大約80万回分の抗原簡易キットの配布を9月上旬から開始することを決めました。
今回はこの「抗原検査」の関連銘柄に注目します。
「抗原検査」は15〜30分の短時間で検査結果が判明!
「簡易キット」なら専門機関に頼らず自分で検査ができる
「抗原検査」という言葉については、メディアなどで何度も見聞きしているかと思いますが、「PCR検査」と「抗原検査」の違いについて、しっかりと答えられる人はそれほど多くないと思います。
2つの違いを簡単に説明すると、どちらも「現在、ウイルスに感染しているか」を確認するための検査方法ですが、PCR検査がウイルスの遺伝子を検出するのに対し、抗原検査は免疫反応を引き起こすウイルス抗原のタンパク質を検出することで判定します。大きな違いのひとつは検査結果が判明するまでの時間で、PCR検査は結果が出るまでに1~3日ほどかかりますが、抗原検査は15〜30分ほどで結果が判明します。
富士レビオ開発した簡易型の抗原検査キット「エスプラインSARS-CoV-2」。キットに含まれる試薬や機材を使い、その場で新型コロナウイルスの抗原検査ができる(画像出典:富士レビオ公式サイト)拡大画像表示
さらに、抗原検査には専門家が専用の分析装置を使って検査する方法のほか、誰でもその場で検査が行える簡易型のキットを使う方法があります。
抗原検査の簡易キットは、感染に対する感度は多少低くなるものの、特別な検査機器や専門家による分析が不要なのがメリット。自分で鼻腔の奥などを拭って検体を採取し、その場で感染しているかどうかをチェックすることが可能なので、幅広い地域や大人数への検査が必要な場合に有効な手段となります。前述した学校や職場での利用が推奨される「抗原簡易キット」も、この抗原検査の簡易キットとなります。
【※関連記事はこちら!】
⇒新型コロナの“抗原検査”が安くて早くて手軽にできる装置を開発した米国企業「クワイデル」に注目! 従来のPCR検査より便利なため、急速に普及する可能性あり
「PCR検査」より手軽に検査が受けられる「抗原検査」なら、
これまで見逃されていた「隠れ感染者」を減らすことも!
8月25日に確認された都内の新規感染者は4228人で、1週間前の18日から1158人減少しました。これを受けて、一部では感染のピークアウトを期待する声もあるようですが、油断は禁物です。
なぜなら、国立国際医療研究センターの大曲貴夫氏が新型コロナウイルスのモニタリング会議で指摘したように「検査が必要な人に迅速に対応できていない恐れがある」ためです。以前から伝わっているように保健所の業務は逼迫しており、検査が十分にできていないだけで、実際にはもっと多くの新規感染者が存在する可能性があるのです。
そうした状況のなか注目されるのが「抗原検査」です。PCR検査に比べて短時間、かつ手軽に検査結果が判明する抗原検査が普及すれば、これまでのように検査が追いつかずに見逃されていた「隠れ感染者」が減少し、感染拡大の歯止めとなることが期待できます。
政府が「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を改定し、職場や学校などにおける抗原簡易キットの奨励を盛り込んだのも、そうした狙いがあると思われます。学校の夏休みが終わり、今後は子供たちの移動や接触が増加することもあり、素早く結果が判明する抗原検査を活用することで、感染者を迅速に見つけて隔離することが重要になってくるでしょう。
そこで今回は「抗原検査」関連銘柄として、実際に抗原検査の簡易キットや分析装置、試薬などを手掛ける企業をピックアップしました。
【H.U.グループホールディングス(4544)】
グループ会社の開発した抗原簡易キットが日本で初めて承認を受ける
H.U.グループホールディングス(4544)は、傘下の富士レビオが、前出した簡易型の抗原検査キット「エスプラインSARS-CoV-2」を開発。同製品は2020年5月に、国内初の新型コロナウイルス抗原検査キットとして厚生労働省から承認されました。また2020年6月には、新たな新型コロナウイルス用の抗原検査試薬「ルミパルスSARS-CoV-2 Ag」が薬事承認を取得しました。株価は、5月半ばに決算内容が失望されて急落しましたが、8月に入って緩やかな上昇トレンドが続いています。
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H.U.グループホールディングス(4544)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【東洋紡(3101)】
富山大学と独自技術を用いた抗原検査キットを共同開発
東洋紡(3101)は、富山大学の研究グループと共同で、独自技術を用いた簡易型の抗原検査キットを開発。特別な診断機器を必要とせず、新型コロナウイルスの抗原の有無を15分で判定できることから、幅広い医療施設での迅速な検査が可能となります。株価は、52週移動平均線に上値を抑えられており、今後の突破を期待したいところです。13週移動平均線近くまで下がったタイミングでの押し目買いがおすすめ。
東洋紡(3101)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【カイノス(4556)】
「遺伝子・抗原・抗体」をそれぞれ検出する検査試薬を販売
カイノス(4556)は、新型コロナウイルスの「遺伝子・抗原・抗体」をそれぞれ検出する3種類の検査試薬について、6月から販売を開始しました。カイノスの抗原検査試薬は、イムノクロマト法により、新型コロナウイルスの抗原を迅速かつ簡便に検査できます。株価は足元で上昇トレンドを強めており、5月以来の高値水準に接近しています。短期的には過熱感が意識されるので、押し目買いのスタンスで臨みましょう。
カイノス(4556)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【ミズホメディー(4595)】
感染症迅速診断システム「クイック チェイサー」を提供
ミズホメディー(4595)は、遺伝子解析システムや感染症迅速診断システム、免疫学的検査用試薬などを手掛けています。イムノクロマト法と写真の現像技術を組み合わせることで、抗原量が少ない発症早期でも検出可能な診断システム「クイック チェイサー」を開発。判定時間は15分で、テストカートリッジをQRコードで自動管理できるのが特徴です。株価は8月に入って上昇を始め、4月の高値に迫る場面もありました。しかし、足元では直近の急伸に対する利益確定の流れで下落しているので、「半値押し」となる3040円辺りが押し目買いのタイミングになりそうです。
ミズホメディー(4595)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【デンカ(4061)】
政府に新型コロナウイルス用の抗原検査キットを納品
デンカ(4061)は6月11日、新型コロナウイルス用の簡易型の抗原検査キット「クイックナビ−COVID19 Ag」を、厚生労働省の配布事業に供給することを発表。公表された買い上げ総額は158億円超となります。株価は3月29日に高値4660円をつけた後、下落トレンドに転換。8月20日には3560円まで株価を下げ、年初来安値を更新しました。ここからは株価の底堅さを確認したうえで、リバウンド狙いのスタンスとなります。
デンカ(4061)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【ニチレイ(2871)】
抗原コンボテスト「ニチレイバイオ」を販売
ニチレイ(2871)は、グループ企業のニチレイバイオサイエンスが、中国のALLTESTバイオテクノロジー社から新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの抗原を同時に検出する迅速診断キットを導入し、抗原コンボテスト「ニチレイバイオ」として5月13日から販売を開始しました。株価は、8月3日に発表された決算内容が嫌気されて急落しましたが、足元では緩やかなリバウンドの動きを見せており、仕切り直しからの上昇が期待できます。
ニチレイ(2871)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【栄研化学(4549)】
独自の遺伝子増幅技術による検査試薬を販売
栄研化学(4549)は、感染症に対する細菌検査用の試薬を開発しています。新型コロナウイルスに関しては、独自の遺伝子増幅技術LAMP法による遺伝子検査用の試薬を販売。今後の新型コロナウイルスの感染再拡大や長期化をにらみ、検査試薬の需要増に応えられるよう増産体制を構築しています。遺伝子検査は、今回のテーマである「抗原検査」とは別の検査法になるのですが、35分という短時間でウイルスを検出できることから今回の関連銘柄リストに加えました。株価は、7月29日の高値2340円をピークに下落が続いていましたが、ボトム水準まで下がった後、足元でリバウンドの動きを見せています。
栄研化学(4549)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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以上、今回は「抗原検査」の関連銘柄を紹介しました。
インドは、5月に新型コロナウイルスの1日に新規感染者数が42万人を超えていましたが、現在は2万人超と大幅に減少しており、経済活動の再開が進んでいます。報道によると、インド国民の6割以上が新型コロナウイルスに感染したことで、集団免疫を獲得した可能性があるとのことです。ただ、そこに至るまで日本とは比べ物にならない数の犠牲が出たことも事実であり、日本で同じ方向性を期待することは難しいでしょう。
日本でも自宅療養者の増加や医療機器の不足など、新型コロナウイルス対策に関しては問題が山積みです。これ以上の感染拡大を防ぐためにも、抗原検査は今後ますます重要な役割を果たすことになるでしょう。
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