建築や土木を主力事業とするインフロニア・ホールディングスが
「洋上風力発電」関連事業の強化を進める東洋建設へのTOBを発表
3月22日、建築や土木、舗装、機械、インフラ運営を主な事業としているインフロニア・ホールディングス(5076)は、東洋建設(1890)に対して株式公開買付け(TOB)を実施することを発表しました。
インフロニア・ホールディングスは、完全子会社である前田建設工業を通じてすでに東洋建設の株式の20.19%を保有しています。今回のTOBは議決権の2/3(約66.7%)の保有を目的としており、所有割合の46.47%を買付予定数の下限と設定しています。もし、応募された株式の総数が買付予定数の下限に満たない場合は、すべての買い付けは行われずにTOBは不成立となります。
今回このニュースに着目したのは、東洋建設が、今後の成長施策として「洋上風力発電」関連事業の強化に向けた取り組みを推進している企業であるという点です。
政府による再生可能エネルギー事業の取り組み強化もあり、
「洋上風力発電」を手掛ける中堅ゼネコンに再編期待が高まる
「洋上風力発電」は、大量導入やコスト低減、経済波及効果などが期待されることから、政府によって再生可能エネルギーの切り札と位置付けられています。2021年10月22日には「第6次エネルギー基本計画」が策定され、2030年までに1000万kW(キロワット)、2040年までに3000万~4500万kWという導入目標が明示されました。
「洋上風力発電」については、以前に当コラムでも取り上げたことがあり、「海底地盤・気象海象に関する調査」「浮体式発電機」「着床式発電機」「送電ケーブル」「軸受け(ベアリング)」「発電機」「増速機」の関連銘柄をそれぞれ紹介しました。
【※関連記事はこちら!】
⇒「洋上風力発電」関連銘柄は、政府主導の実証実験により注目度がアップ! 海底地盤調査や発電機、増速機など「洋上風力発電」に関わる各分野の中核銘柄を紹介
今回のインフロニア・ホールディングスによる東洋建設へのTOBの発表を受けて「洋上風力発電」に関わる土木企業の再編への思惑が高まる可能性を考え、海上土木に従事する中堅ゼネコンに注目しました。
政府による再生可能エネルギー事業の取り組み強化とともに、「洋上風力発電」の関連事業は大型プロジェクトが増加すると予想されますが、その受注に向けてゼネコン各社は競争力を一段と強化する必要があります。そうした流れの中で、建設・土木業界の再編が加速することが期待できます。
海洋土木の分野で強みを持つ企業としては、五洋建設(1893)や戸田建設(1860)など準大手ゼネコンの名前も挙げられますが、今回は、再編機運が高まりやすく個人投資家の思惑的な資金流入が意識されやすい「時価総額1000億円以下の中堅のゼネコン」を中心に銘柄を選定しました。
【東亜建設工業(1885)】
洋上風力発電施設の建設を目的とした作業船などに70億円を投入
東亜建設工業(1885)は、海洋土木に強みを持っており、中期経営計画の初年度である2021年3月期においては、成長への設備投資として洋上風力発電施設の建設を目的としたSEP(超大型クレーンを搭載した自己昇降式作業船)の建造や、港湾・河川・運河などの底面に溜まった土砂を取り除くポンプ浚渫船(しゅんせつせん)のリニューアルなどに70億円を投入しています。株価は、2月16日につけた高値2731円をピークに調整していましたが、75日移動平均線を下値支持線にリバウンドの動きを見せており、直近で25日移動平均線を突破しました。
東亜建設工業(1885)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【若築建設(1888)】
洋上風力発電施設の建設コスト低減に向けた技術開発を進める
若築建設(1888)は海上土木に強みを持つ企業で、足元では千葉県の海匝・いすみ沖洋上風力発電事業の準備工事を受注しました。2018年9月には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「洋上風力発電低コスト施工技術開発」に選定されており、2022年度を目標に洋上風力発電施設の建設コストを20%抑える技術の確立に取り組んでいます。
若築建設(1888)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【三井住友建設(1821)】
200メートル級タワーとその架設機械の開発を進める
三井住友建設(1821)は2021年1月、オランダのMammoet(マンモート)社と共同で、風力発電用の200メートル級タワーとその架設機械の開発に着手したことを発表しました。風力発電用のタワーはこれまで100メートル前後が主力でしたが、今後、大型発電機を導入して発電出力を上げていくために、200メートル級のタワーが必要とされています。三井住友建設の特許であるセルフクライミング工法は、世界中の陸上・洋上風力発電市場のニーズに応える技術として期待されます。株価は、2021年11月10日に急落したものの410円近辺で下げ止まっており、その後は緩やかなリバウンドの動きを見せています。
三井住友建設(1821)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【富士ピー・エス(1848)】
次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究などを行う
富士ピー・エス(1848)は、プレストレスト・コンクリート構造物の設計・施工が主力事業で、橋梁や道路などを得意としています。「洋上風力発電」については、経済産業省の「洋上風力発電等のコスト低減に向けた研究開発事業」において、次世代浮体式洋上風力発電システムの実証研究などを行っています。株価は3月8日につけた安値452円を底値に足元でリバウンド基調が強まっています。
富士ピー・エス(1848)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【大豊建設(1822)】
太平電業と共同で、新しい洋上風力発電施設の建設工法を研究
大豊建設(1822)は、太平電業(1968)と共同研究契約を締結し、新しい洋上風力発電施設の建設工法の研究を行っています。なお、大豊建設は、SEP船(超大型クレーンを搭載した自己昇降式作業船)を使用しない工法の特許を2020年4月に取得しています。株価は2021年7月以降、下落トレンドが続き、2022年3月9日には一時3410円まで下落。しかし、その後は緩やかなリバウンドを見せており、足元で25日移動平均線近くまで回復してきました。
大豊建設(1822)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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以上、今回は、中堅ゼネコンを中心に「洋上風力発電」関連銘柄を紹介しました。
今回は、個人投資家からの資金流入を期待して「時価総額1000億円以下の中堅のゼネコン」にフォーカスしましたが、五洋建設(1893)や戸田建設(1860)など海洋土木に強い準大手ゼネコンに関しても事業拡大に向けた取り組みなどが出てくる可能性はありそうです。
また、工事着工などの報道をきっかけに「洋上風力発電」に注目が集まる局面では、今回紹介した銘柄だけでなく、以前のコラムで紹介した銘柄へも波及が見られる可能性があるので、そちらも併せてチェックしておくといいでしょう。
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