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ウクライナ情勢の深刻化に伴ってサイバー攻撃が活発化!
経済産業省もセキュリティ対策の強化を呼びかけ
株式市場では現在、サイバーセキュリティへの関心が集まっています。
2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始しましたが、その直前にウクライナへのサイバー攻撃が本格化したと多くのメディアで報じられました。ロシアが、軍事力に加えてサイバー攻撃や情報操作などを組み合わせた“ハイブリッド戦”を行うことは珍しくないようで、今回も政府や金融機関に対してインターネットを通じた攻撃が実施されたようです。侵攻前にウクライナの銀行のATMが障害で一時利用ができなくなったことも、サイバー攻撃による影響と見られています。
日本国内でも、経済産業省が2月23日、「昨今の情勢を踏まえるとサイバー攻撃事案の潜在的なリスクは高まっている」として、企業に対策の強化を呼び掛けました。日米欧がロシアの銀行を国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出す方針を打ち出したこともあり、サイバー攻撃という形でロシアによる報復が行われるのではないかとの警戒感が一段と高まっているようです。
現時点でロシアとの関係は確認されていませんが、トヨタ自動車(7203)はサプライヤーがサイバー攻撃を受けたとして、3月1日に国内工場の稼働を停止しました。過去には、サイバー攻撃によって企業の機密情報が漏洩するケースもありましたが、今回のように、サイバー攻撃がトヨタ自動車ほどの大企業の生産に大きな影響をきたしたケースは珍しいと言えるでしょう。
一方、ロシア側も政府機関や国営メディアのサイトが大量のデータを送りつけられるDDoS攻撃を受け、サーバーがダウンしたと報じられました。このサイバー攻撃に関しては、国際的ハッカー集団「アノニマス」が犯行声明を出したようです。
このように、ロシアによるウクライナ侵攻の裏で、「サイバー戦争」とも言える状況が勃発していると考えられます。
サイバー攻撃から企業活動を守ることの重要性が高まるなか、
セキュリティ対策のひとつである「ゼロトラスト」に注目
世界中でサイバー攻撃が頻発していることから、企業としても巻き込まれることを避けるため、セキュリティ対策を強化する動きが加速しているようです。そこで今回は、セキュリティ対策のひとつである「ゼロトラスト」の関連銘柄に注目しました。
従来のセキュリティ対策といえば、保護すべき情報やシステムが「内側」にあると考え、「外側」からの攻撃が入ってこないよう内外の境界上で遮断するという考え方が基本でした。しかし、クラウドの普及によって、守るべきデータがインターネット上に保存されているなど内外の区別が非常に曖昧になったことで、「内側だけを守ればいい」という考え方では十分な対策を講じることが難しくなってしまいました。
そこで最近になって注目されているのが「ゼロトラスト」です。「ゼロトラスト」は、その名の通り「何も信頼しない」ということを前提に対策を講じるセキュリティの考え方。具体的には、すべての通信経路の暗号化やユーザー認証の強化、ログの監視強化などの対策を総合的に行います。
関連銘柄としては、「ゼロトラスト」を実現するためのセキュリティソリューションを手掛けている企業のなかで、個人投資家の売買が活発化しやすい中小型株を中心に選定しました。特に「株価が強いトレンドを継続している銘柄」や「調整が長期化していたものの足元で底入れからの反転が想定できる銘柄」をピックアップしています。
【アセンテック(3565)】
ゼロトラスト・シンクライアント「Resalio Lynx」を手掛ける
アセンテック(3565)は、仮想デスクトップに関連する製品開発や販売、コンサルティングサービスなどを提供する企業で、高いセキュリティ機能を実装したシンクライアント「Resalio Lynx」を手掛けています。また、米国のゼットスケーラー(ZS)の販売パートナーとして、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)のサービスを扱っています。株価は、2021年11月半ば以降、調整を継続しており、2月24日には663円まで下落しました。しかし、ボトム圏での底堅さが見られるなか、足元でリバウンドを見せて上値抵抗線として意識されている25日移動平均線を突破しており、出遅れ修正の動きが期待できます。
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【SBテクノロジー(4726)】
「ゼロトラストセキュリティ スターターパック」を提供
SBテクノロジー(4726)は、ICTサービス事業を基盤に事業を展開。クラウドに関する技術力を軸に、企業のIT支援と、AIやIoTなどの先端技術を活用した競争力強化を推進しています。「ゼロトラスト」関連事業としては、IT担当者の負荷を抑えて短期間で防御網を構築する「ゼロトラストセキュリティ スターターパック」を提供。「通信の監視」「端末の管理」「本人確認/認証」に関する製品をパッケージ化したサービスとなっています。株価は、1月27日につけた安値2148円を底値にリバウンドを継続しており、25日移動平均線を下値支持線としたトレンドを形成。直近で75日移動平均線を突破してきたことから、目先的には2021年11月の戻り高値である3200円水準を意識した展開が期待されます。
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【ブロードバンドセキュリティ(4398)】
「ゼロトラスト」のネットワーク構築・運用をトータルにサポート
ブロードバンドセキュリティ(4398)は2021年3月、JSOL社と共同で、企業のネットワークシステム構築・運用や、セキュリティ管理運用を支援する「次世代ネットワーク・セキュリティソリューション」の提供を開始すると発表。「ゼロトラスト」のネットワークの設計から構築、運用までをトータルにサポートします。株価は、2021年2月の高値2515円をピークに下落が続いていましたが、1月24日につけた安値1000円を底値にリバウンド。直近では、上値抵抗線として意識されていた75日移動平均線を大きく上放れてきました。
⇒ブロードバンドセキュリティ(4398)の最新の株価はこちら!
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【JBCCホールディングス(9889)】
セキュリティとネットワークを合わせてクラウド上で提供
JBCCホールディングス(9889)は、システム開発やセキュリティサービスなどを手掛ける総合ITサービス企業です。「ゼロトラスト」のセキュリティを実現するソリューションとして、「マネージドサービス for SASE Plus」を展開。セキュリティとネットワークを合わせてクラウド上で提供することで、テレワークやオフィスなど、どこからでも安全で快適なクラウドアクセスを実現します。株価は、2021年11月の高値1929円をピークに調整を継続していましたが、1430円辺りでの底入れからリバウンドを見せており、上値抵抗線として意識される25日移動平均線を突破してからのさらなる上昇が期待されます。
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【GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788)】
企業向けシングルサインオンサービスを提供
GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788)は、電子認証サービスなどを展開しており、企業向けのシングルサインオンサービス「トラスト・ログイン by GMO」を提供しています。また、2021年6月からは、セキュリティプラットフォームをグローバルに提供しているパロアルトネットワーク社のSASE製品と連携し、より強固なゼロトラスト・ネットワーク環境の構築を実現します。株価は、1月28日につけた安値3065円を底値にリバウンド基調を強めており、足元で2021年11月半ば以来の株価水準を回復しています。
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【ソリトンシステムズ(3040)】
デジタル証明書を活用した「Soliton OneGate」を提供
ソリトンシステムズ(3040)は、ITセキュリティ製品の開発・販売やコンテンツ配信サービスなどを手掛けています。SASEやMicrosoft365、Google Workspaceをはじめとする複数のクラウドサービスに、「デジタル証明書+FIDO2」「ドメインパスワード」「スマホ認証」の多要素認証(MFA)をまとめて適用できる「Soliton OneGate」を提供しています。株価は2020年10月以降、長期的な下落トレンドが続いていましたが、足元でリバウンドの動きを見せており、2022年2月に入って25日・75日移動平均線を大きく上放れてきました。
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以上、今回はセキュリティ対策として注目される「ゼロトラスト」関連銘柄を発掘しました。
前述したサイバー攻撃によるトヨタ自動車の国内全工場の停止により、3月1日の株式市場では「サイバーセキュリティ」関連の銘柄が軒並み上昇しました。短期的な自律反発狙いの資金が集中したことにより、いったんは反動による下落もあると見られます。
ただし、「サイバーセキュリティ」関連銘柄は、これまで調整が続いていた銘柄も多く、今回の上昇を「中長期的なリバウンドの初動」と見ることもできます。サイバー攻撃が実際に企業の生産活動に大きな影響を与えたことで、今後、本格的な上昇トレンドへの展開も想定されるため、「ゼロトラスト」関連に限らず、全体的に「サイバーセキュリティ」関連への関心は高まりやすいでしょう。
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