引きこもり歴10年の当事者は
支援を受けることができるか
では、生活再建を目指す引きこもり当事者は、活用できるのか。東京都社会福祉協議会の福祉資金部の担当者は、こう説明する。
「引きこもり状態になられている方が、就職活動をしていただけるのかどうか。また、貸付制度なので、返済をしていただかなければならない。これまでは離職の事実を確認するとともに、継続して就職されていた上に生計を維持されていたのかどうかを確認することで、返済していただけるのかどうかを審査してきました。極端な話、10年にわたり、ずっと引きこもりされてきて、生活も苦しくて、ご家族の支援も受けてきたような方がいらっしゃったとしたら、今後も就職活動は難しいと判断されて、総合支援資金の要件に当てはまらなくなります。大雑把にいえば、交通事故やリストラで離職を余儀なくされていて、就職活動後、就職して返済していただけるという方に貸し付けを進めさせていただいています」
結局、貸し付けが認められるかどうかの目安は、再就職できて、返済が見込めるかどうかということになる。
元々、仕事を辞めた人たちは、雇用保険を6ヵ月ほどもらう。そして、この段階で大抵の人は、次の仕事が決まっていた。
ただ、ここで仕事が決まらないと、これまでは最終手段である「生活保護」という道しかなかった。
この“第2のセーフティネット”の大きな特徴は、あくまで雇用保険に入っていない会社に勤めていた場合など、雇用施策を使い終わった、あるいは雇用施策を使えない条件にあり、就職活動に専念してもらうことが対象になる。
そんな当時の雇用状況から、多くの人が困窮状態に陥った09年から10年にかけて、貸付件数が急増した。
速報値によると、09年度は半年間で2万6000件。10年度は4万件。11年度が1万8000件。12年度がおよそ1万件と、貸付件数はピーク時の4分の1に下がると見込まれているものの、累計で9万件の人たちが救済されたことになる。
この制度とセットで、住宅支援給付という家賃を補助する制度もある。対象は、離職者で、就労能力及び就労意欲があり、住宅を喪失、まあは喪失する恐れのある人で、こちらは返済する必要がない。
言うまでもなく、支出の中でいちばん大きな割合を占めるのが、住宅費だ。自宅がなければ、就職活動ができないという問題もある。そのために、住宅を失った人が、居住地を構えて、そこを根拠に就職活動してもらおうというものだという。
しかし、今年4月から、住宅支援給付事業が改正されて、対象者の要件は厳しくなった。例えば、「離職後2年以内の者」に限定されたため、引きこもり状態の人にはますます自立への道が閉ざされつつある。



