なぜ日本ハムファイターズは強くなったのか?
ビジネス的観点から球団経営を分析してみた

【第97回】2013年5月14日公開(2013年6月20日更新)
保田 隆明

データ分析と統計で野球を強くする

 ファンサービスの拡充が、観客数増加につながり、ファンの応援が選手の力となりチームが強くなって優勝の常連になった、というストーリーはキレイではあるものの、それだけではないだろう。

 特にファイターズは観客動員数はリーグ1位ではなく2位(ソフトバンクホークスが1位)である。そこで、津田社長にファンサービス以外では何が強さの理由かと聞いてみると、ベースボールオペレーションシステム(BOS)と呼ぶデータ分析、それにスカウティングと育成がその要因だと指摘する。

 BOSは、中身は企業秘密とのことであるが、端的には映画や小説になった「マネーボール」をイメージするとよいであろう。「マネーボール」は財力が大きくない大リーグの球団アスレチックスが、統計手法によるデータ分析を活用することで強くなっていったという実話をもとにしたものである。

 映画では、勘に頼った旧態依然としたやり方で人員の補強を図ろうとするスカウト陣に対して、ブラッド・ピット演じるGeneral Managerが統計手法を駆使したデータ分析で対抗するシーンがある。昔からいたスカウト陣の一人が、統計で野球ができるわけないだろ、という捨て台詞を残して球団を後にする。が、アスレチックスはその後どんどん強くなっていく。

 今やファイターズに限らず、このデータ分析、統計的手法をチーム運営に活用する球団は日本でも少なくない。その点を津田社長に質問してみると、データを活用するのは人ですから、とのコメント。やはりこのBOSには自信を持っている様子であった。

 たしかに、よく考えてみると、ファイターズはダルビッシュなど有力選手を手放すことはあっても、札束で有力選手を引っ張ってくることはない。しかし、勝てるというのは緻密な分析に基づくものなのであろう。

2軍の鎌ヶ谷球場は観客数がリーグで1位

 なお、スカウティングと育成にも強みがあるが、ファイターズの2軍は北海道にはいない。千葉県の鎌ヶ谷にいる。1軍の首脳陣が2軍の選手を見る機会がないことも、BOSによるデータ活用の重要性が増す要因となる。

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