中国国内向け食品と
日本向け食品は異なる
確かに中国人自身が中国で食べているものの衛生に問題があれば、輸出食品も危ないと思うのは自然な発想かもしれません。実は、私も、中国ではなるべく刺身などの生食は取らないようにしています。日本の刺身をはじめとした生食文化というものは、日本人の衛生観念の上に成り立っていると考えているからです。
ただ一方で、中国における一般的な衛生観念が日本と違うとしても、中国の格差社会の実態にも注目する必要があると思います。私は15年間上海で生活していますが、上海では、野菜は自社農園または契約農園をもっている高級スーパーの低農薬または有機野菜しか求めないようにしています。
別にセレブな生活をしているわけでもなく、有機野菜でも日本で買うよりは相当安く手に入るので、日本人として並みの所得水準の人であれば別に気にならない範囲なのです(現に日本人の駐在員のご家庭はほとんどこのようなスーパーを利用しております)。私が行くスーパーは別に外国人専用というわけでもなく、多くの中国人(おそらく富裕層)で賑わっています。おそらく日本向けの野菜や食品も私が上海で求めているスーパーと同じかそれ以上の厳格な管理の下で輸出されているのではないでしょうか。
中国では富裕層とそうでない層での所得の格差が日本より顕著であるといわれていますが、それはすなわち生活実態、食品についても同じことがいえるのです。残念ながら、中国では食品の安全度合いについても格差があるのではないかと思います。ですから、中国の平均的なレベルのものと輸出用のものとを全く同次元で比較するのはナンセンスのような気がします。
もちろん、日本で立て続けに続いた賞味期限や原材料の偽造事件から、日本の業者自身の信用が落ちていることから、業者が安全といっても信じられないという消費者の心理があるのは理解できます。とはいえ、赤福を買わなくとも誰も困りませんが、もし、中国食品を一切買わないということになれば最終的に困るのは日本の消費者です。その辺はいたずらに煽るのではなく、日本の業者の管理体制があったとしても本当に危ないのか、謙虚に専門家の意見を聞いてみてはどうでしょうか。
以前、中国で自動車を製造している日本のある自動車メーカーの方にお話を聞いたことがあります。彼曰く、中国製の自動車は人手をかけられる分、日本製の自動車よりも品質は高いかもしれないとのことでした。工業製品で中国製が世界的な品質水準に達したということは、食品についてもその可能性は十分あるということです。そこがせめての希望ではないかとも思います。



