『葬式坊主なむなむ日記――檀家壊滅! 還暦すぎて派遣で葬儀に出かけます』松谷真純 (著) 三五館シンシャ私が正直に内情を伝えると、町岡さんは「うーん」とうなって押し黙った。東法院の収入では食べていけず派遣僧侶に加えて配送のアルバイトまでしていることを言おうかと迷ってやめた。彼に話せば根掘り葉掘り聞かれそうだし、どこかの誰かに話されないとも限らない。
「残念ながら、うちの寺には売れるような“お宝”はありませんけどね」
重苦しい雰囲気を切り替えたくて少し茶化して言った。反対に彼のところの檀家数を尋ねてみたいと思ったが、それも空しい気がした。
「お互いがんばりましょうね」
そう言って電話は切れた。町岡さんは私に何を言いたかったのだろうか。
翌年の元旦、町岡さんから届いた年賀状には、寺院を大規模に改修した旨の報告が記載されていた。
住職が無断で売り払い
残念ながら、こうしたことは定期的に起きていて、この世界では珍しくない。異変に気づいた檀家が騒ぎ出し、それが本山に知れて、にっちもさっちも行かなくなるというのがお定まりのコースだ。
残念ながら、こうしたことは定期的に起きていて、この世界では珍しくない。異変に気づいた檀家が騒ぎ出し、それが本山に知れて、にっちもさっちも行かなくなるというのがお定まりのコースだ。
コンサル会社を頼った
多くの住職は世襲で寺を継ぐため、一般企業における経営や財務を学ぶ機会がない。さらに「金の話をするのは下品」「修行者は清貧であるべき」という価値観があり、収益活動への心理的抵抗から、第三者のコンサルを頼る傾向があるものと思われる。
多くの住職は世襲で寺を継ぐため、一般企業における経営や財務を学ぶ機会がない。さらに「金の話をするのは下品」「修行者は清貧であるべき」という価値観があり、収益活動への心理的抵抗から、第三者のコンサルを頼る傾向があるものと思われる。



