相続税を支払う人が増え続けている。2022年に亡くなった人のうち、相続税の課税対象となったのは15万人を超え、その割合も9.6%と10人に1人にまで迫った。大相続時代が到来する中、生前贈与を使った節税術や空き家問題など、相続・贈与・実家に絡む法改正が相次いでいる。特集『法改正で知らない間に損をしない!相続・贈与・実家の新常識』(全13回)の#4では、知らないと損をする六大改正ポイントをまとめた。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
相続税の課税対象15万人と過去最多に
1人当たりの相続税額平均は1855万円
10人のうち1人に相続税がかかる大相続時代の到来だ。
親の死はいつか必ずやって来る。相続は誰しも直面する問題だ。そして、相続税は決して人ごとではなく、支払う人の数は年々増え続けている。
国税庁の発表によれば、2022年に亡くなった人は約157万人。このうち相続税の課税対象となったのは前年から12.4%増の約15万人で、過去最多を記録した。死亡者全体に占める割合で見ると、前年から0.3ポイント増の9.6%とこちらも過去最多となり、10人に1人は相続税が課される時代になった。
とりわけマンションを中心に不動産価格の高騰が続く東京国税局管内ではその比率は15.0%とさらに高まり、実に7人に1人が相続税を課されているのだ。
そして、実際に相続税を支払うのは、亡くなった人ではなく、遺産を受け取った配偶者や子供たちなどだ。
22年の相続税の納税者数は前年比12.0%増の約33万人。そして亡くなった人1人当たりの相続税額の平均は1855万円とその負担は決して小さくない。
遺族の負担を減らすため、生前贈与を代表とする相続税の節税術は広く使われている。しかし、24年は相続や贈与に関わる法改正が相次いだ。新ルールを知らずに旧来の手法を続けているとかえって損をするリスクが高まる。
次ページでは、相続や実家を巡る法改正の新六大ルールを解説する。