閉鎖寸前のスキー場はどうやって蘇ったのか?

【第110回】2013年12月25日公開(2013年12月27日更新)
保田 隆明

 もとの収入を維持するには利用者を3倍にする必要がある。あるいは、何らか他の収入を増やす必要がある。

 そこで、オーンズでは、シーズン券の活用方法を少し工夫した。それはシーズン券をセンターハウスに持っていくと、当日券が交付されるという形式である。これによりシーズン券利用者は毎回必ずセンターハウスに立ち寄ることになる。センターハウスでの、飲食につなげようという意図だ。

 リフトは2本という小さなスキー場なので、これまではシーズン券を一度持ってしまうと駐車場からそのままリフトに行き、滑り終わったらそのまま駐車場という導線だった人々の行動を変えたわけである。

利用客の1割が19歳無料枠

 次は、19歳はリフト代をタダにした、というものである。

 これはオーンズ以外のスキー場でも最近少しずつ導入されている策であるが、オーンズの近隣のスキー場ではまだ導入されていない。全国的に多くの高校でまだスキー合宿が行われていると思うが、高校を卒業してしまうとスキーに触れる機会がめっきり減ってしまう。そこで、高校を卒業したばかりの19歳を無料にすることで、彼らの行動の中にスキーを組み込んでもらおう、というものだ。

19歳だけリフト無料! (c)TVh「けいざいナビ北海道」

 北海道でも同じで、小学校から学校でスキーを行うことが多いが、やはり高校を卒業するとスキーとの触れ合う機会は大きく減る。無料で集めた19歳のうち、何割かがスキー利用者として翌年以降も定着してくれれば、という狙いだ。

 新規顧客の発掘策であり、これは、新規顧客の発掘に対してクーポンを提供する飲食店や、本体価格を実質無料にする携帯電話会社の取り組み等と照らし合わせると納得な戦略である。

 昨シーズンは9000人がこの19歳枠での利用ということで、これは利用客の1割に相当するほどの規模である。19歳同士で来ることもあろうが、中には他の年齢層(例えば親や兄弟、先輩、後輩)と来るグループも当然ながら存在するはずであり、他の年齢層の集客にもつながりうる。

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20歳になってもリフト券は980円

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