閉鎖寸前のスキー場はどうやって蘇ったのか?

【第110回】2013年12月25日公開(2013年12月27日更新)
保田 隆明

 これにより、まずレッスンを受ける際のハードルを低くしようということになる。言語対応だけなら日本人の通訳が同席してもいいわけだが、同じ国の人がサブインストラクターとして存在する方が心理的なハードルはぐっと下がるはずだ。また、留学生たちが地元に戻った時に、彼らは北海道のスキー場の魅力の伝道師にもなってくれるであろう。

 実際、それら留学生に期待することは、FacebookなどのSNSを通じた情報発信も含まれている。地道な取り組みであるが、留学生は毎年新規学生が次々とやってくるため、今後10年、20年という先を見越した取り組みとしては非常に重要である。

 また、スキーシーズンにニセコにやってくる海外客は、富裕層も少なくない。

 そこで、今シーズンは、美瑛にあるミシュラン一つ星のアスペルジュというレストランがニセコの花園地区に12月下旬~3月上旬ので期間限定オープンを行なうことになった。これまでは冬季は休業していた同レストランだが、シェフ、従業員、食器まですべてを美瑛からニセコに持ち込んで営業をする。ランチ4500円、ディナー1万5000円と、まさに富裕層向けの価格帯である。

他ではなかなか味わうことのできない大きな牡蠣も!(c)TVh「けいざいナビ北海道」

 ニセコにはいくつかのスキー場が存在するが、特にこの花園地区のスキー場はここは海外かと見間違うほどゲレンデもセンターハウスも外国人だらけだ。レンタルスキーのデスクの従業員も外国人で基本的に英語でのコミュニケーションとなる(日本人スタッフも存在はする)。アスペルジュもさっそく海外客からの予約が入っているということで、海外富裕層を対象にしたビジネスチャンスはまだ広がりだろう。

 食の楽しみが増えれば、さらに富裕層を呼び込めることになるし、レストラン側にしてみるとそれら海外客に冬のニセコで店の味を覚えてもらい、彼らが夏の北海道観光で美瑛を訪問する際には本店に来店してもらうこともできる。ニセコと美瑛での顧客の共有をシーズンを変えて行うことが可能になるのだ。

 かつては、放っておいても知恵を絞らなくても客がやってきたスキー場。裏を返すと知恵を絞る余地はまだまだあるということで、今後も新たなビジネスチャンスが登場する可能性があろう。

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