日銀は1月26日の金融政策決定会合で中期的な経済見通しである「物価展望レポート」の見直しを行った。政策委員による消費者物価指数の予想の中央値は、2010年度▲0・5%、11年度▲0・2%と、前回(10月)予想よりもマイナス幅がやや縮まっている。

 白川方明総裁は同日の記者会見で「回復基調が途切れることはない」と語った。政策委員の未公表の12年度消費者物価の予想は若干のプラスになっているだろう。

 だからといって日銀が出口政策を考え始めることは当分ないと思われる。彼らの先行きの成長率の予想は前回とほとんど変わっていない。物価予想のマイナス幅が縮んだのは、国内需要が高まるからではなく、新興国需要を背景にした原油高を想定しているためだ。

 日銀は1月6日以降、日銀当座預金残高をおよそ15兆円で推移させている。12月1日に導入が決定された新型オペ(固定金利方式、期間3ヵ月)の実施残高は、1月27日現在で6・4兆円になった。

 12月上旬頃の当座預金12兆円程度を基準にするなら、そこに新型オペの残高を積み上げれば18兆円台になっていても不思議はない。

 しかし、日銀は当座預金残高をそれよりもやや少なめにしている。その理由は次のように考えられる。