警察が簡単に違法賭博を
取り締まれない理由

違法賭博や放置車両など、地元住民が眉をひそめるものが多い寿地区。「ガラの悪い地域だから後回しなのかね」と、諦めにも似たつぶやきが聞かれた。 Photo by K.A

 そんな不気味な街・寿町にも交番はある。簡易宿泊所内で何か事件があったのかパトロールにやってきた警察官に、なぜ違法賭博がこんなに堂々と行われているかを聞くと、困惑した表情を浮かべながらも、紋切り型の言葉を返してきた。

「違法な行為があれば、取り締まりますが…」

 元警察官複数の話を総合すると、交番勤務の警察官は、あくまでも地域住民への対応がその職務であり、違法賭博を取り締まることは職務の範疇外であるという。

 元警察官の1人が語る。

「ノミ行為にみられる違法賭博は、所轄署や本部(東京では警視庁)の担当部署が取り締まりに当たっていますが、逮捕するにはその要件を満たしており、起訴できるだけの裏付け捜査や証拠が必要です。交番勤務の警察官といえども、住民からの通報だけでの取り締まりが難しいのは、こうした事情からなのです」

 この元警察官によると、その地域に、違法賭博店が一つではなく、複数存在する場合は、一つの店舗だけを狙い撃ちにはできず、地域全体を一斉に取り締まらなければならないという。これは「公平の原則」に基づくものだ。

 そうなると違法賭博店の存在が多ければ多いほど、取り締まりは困難なものになる。

「もちろん、警察がひとたび動けば、一網打尽にしますよ」

 元警察官は自信たっぷりにこう言うが、横浜の寿町の違法賭博店は、長らく、大勢の住民の知るところである。本当に彼が言うように「一網打尽」の時がくるのか。地域住民ならずとも不安になる。

 深夜の西成地区で取材をした経験もあるし、多少のことでは驚かない自信はあったが、寿町のどこか不気味な雰囲気には、少なからず面食らった。オシャレな港町・横浜には、こんな側面も残されているのだ。