ビジネスホテルはもちろん、一般のカプセルホテルや日雇い労働者が泊まる「ドヤ」よりも安い。東京・鴬谷にある「1泊1980円ホテル」は労働者や就活生、長期出張者などが注目する人気ホテルである。その安さの秘密と実際の使い勝手を覗いてみた。(取材・文・撮影/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

ウィークリーマンションも
ビジネスホテルも高すぎる!

10泊しても2万円!東京「1泊1980円ホテル」に行ってみた東京の場合、1泊1万円以下のビジネスホテルは少なくなった。カプセルホテルや、日雇い労働者御用達の「ドヤ」も3000~5000円くらいはする。そんななか誕生したカプセルホテル「1泊1980円ホテル」は、東京の長期滞在を安く上げたい人たちの希望の星だ

 就活中の学生、バッグパッカー、そして出張を余儀なくされるビジネスパーソン――彼、彼女らにとって、もっとも削りたいコストが「宿泊費」だろう。

 1~2泊程度ならいざ知らず、5日以上の長期滞在は多くの人を悩ませる。ウィークリーマンションを借りるほどでもないが、ホテルに連泊となれば、その費用は高くつく。

 東京・大阪間を頻繁に行き来している自営業者は、その都内宿泊費の内訳を次のように語った。

「2ヵ月か3ヵ月に一度、2週間程度都内に滞在する必要があります。私が東京で利用するウィークリーマンションは1泊当たり4000円程度、1週間だと2万7000円。2週間だと5万4000円の宿泊費なのですが、これだけでは済まないことがほとんどなのです」

 というのもウィークリーマンションの場合、ホテル宿泊とは異なり、日割りで光熱費もかかる。その額、1日当たり約800円だ。他にも、管理費・共益費が1日当たり1000円から1500円程度加算される。

 仮に管理費・共益費を1500円とすると2週間の滞在で2万1000円、光熱費は1万1200円となる。宿泊費と合わせると8万6200円だ。しかし、まだ、これだけでは済まない。前出・自営業者が溜息交じりに語る。

「退去の際、清掃費も支払わなければなりません。1万円から2万円程度です」

 布団のレンタルなども含めると、都内でウィークリーマンションに約2週間滞在するとなると、その宿泊費合計は約10万円程度というのが、今の相場だ。1週間の滞在でも約7、8万円といったところだ。

 かといってビジネスホテル利用だと、1週間から2週間程度の都内滞在ならウィークリーマンションよりも割高となることもある。

「1泊1万円以内というビジネスホテルは今、東京都心では少なくなってきました。そうすると、プライベート空間が保たれて、格安で宿泊できるのは、山谷の簡易宿泊所という選択肢しか残っていません」(前出・自営業者)