代表の木戸俊介氏は、「今後はさらにプログラムを増やして、車椅子で田植えやボルダリングをしたり、ポートタワーに登ったりといった、『できない』を『できた!』に変えるイベントを開催していきたい。そして、将来的にはすべての障害者が楽しめるユニバーサル・リゾートをつくりたい」と語る。それが実現すれば、神戸は障害者たちにとっての聖地になる。そうなれば、神戸には世界中から障害者の旅行客がやってくる。もちろん家族も喜んでくれるし、一緒にやってきてくれるだろう。近年の外国人客の増大で、京都や大阪は外国人客が増え、インバウンド消費も増えている。

 しかし、神戸はむしろ減少している。インバウンド振興は神戸市の大きな課題だが、どうにも決め手に欠ける。かつて、神戸の大きな観光資源だった異人館は、欧米人にとってはなんの価値もないし、外国人受けしそうな要素もあまり見当たらない。だからこそ、こうしたプロジェクトによって新しい価値を生み出す必要がある。そして、プロジェクトにもっと積極的にふるさと納税を活用すべきである。

民間活用で
行政の枠を超える発想力を

 このように返礼品の開発、人的資源やプロジェクトの開発にふるさと納税はまだまだできることは多い。そして、これらの取り組みに必要なのが、民間の活用だ。つまり「民間プロジェクト×ふるさと納税」の展開である。前述の須永氏も「ふるさと納税市場は創意工夫すればさらに成長します。そのためには、行政は民間と連携したほうがいい。近年は全国各地に地域商社が増えていて、地域の産物や生産者をネットワークして新しい商品開発を行ったり、その商品のマーケティングを行ったりする機能を持つ。こうした民間業者と連携して、地域からヒット商品を生み出す。それをふるさと納税の返礼品として活用することで、さらに寄付が集まる。ただし、こうした取り組みは行政だけでは難しく、民間と連携してやるべきだと思います」と指摘する。

 さらに、この「商品開発」は返礼品だけの話ではない。寄付の使い道としてのプログラム開発もそうだし、ふるさと納税の活用法もそうだ。たとえば、佐賀県ではいくつかの子ども支援団体やNPO、さらに生産者などが連携して、子どもの貧困対策として「さが・こども未来応援プロジェクト」を立ち上げている。ユニークなのはその返礼品で、寄付者は返礼品を自分で受け取るのではなく、子どもたちに贈ることができる。お米、佐賀牛、野菜、さらにおやつや教材を返礼品として、子どもたちにプレゼントすることができるのだ。