サイバーエージェント投資戦略本部長(藤田ファンド)兼サイバーエージェント・キャピタル 代表取締役 近藤裕文

■2019年の振り返り

 ビジネスモデルとしては、あらゆる既存産業に溶け込んだ「SaaSの浸透」が印象的でした。他には(1)AI applicationの拡大(日本もUSもAIの適用範囲の拡大がもっとも大きなトレンドに)、(2)日本版信用スコアサービスの立ち上がり(法人/個人の新たな与信、雇用の流動性確保)、(3)サブスクリプションサービスの拡がり(ライフスタイル領域に浸透)、(4)D2Cスタートアップの拡がり、(5)US資本からの大型調達。

■2020年のトレンド予測

 2020年は技術起点の大きなトレンドは予想は考えがたいが、(1)引き続きAIの応用分野は注目(より精度の高い翻訳やパーソナルアシスタント、調達・購買、投資・契約締結など企業の意思決定を支援サービスするプレイヤー)、(2)AI人材関連(トレンドの一方で深刻な人材不足を解決するプレイヤーに期待)、(3)データ整備のSaaSやコンサル事業(AI、SaaSが浸透する中で、データアセットをマネタイズ、カスタマイズできるサードパーティーとしてのプレイヤー)(4)5G導入による変化(アナログ→デジタル変換の適応領域が拡大。工場や倉庫の完全自動化やロボットによるレストラン・リテールの無人店舗化などを支える技術・サービスなど)、(5)アバターUIの加速化(「盛る」UIからアバターUIへの進化/浸透。Vtuberがプロのアバター作成、ミラティブがセミプロアバター。その次)などに注目しています。なおCACはシードステージにフォーカスし、藤田ファンドは若手経営者に投資させて頂いています。

クラウドワークス 取締役 副社長 兼 COO 成田修造

■2019年の振り返り

B2B SaaSとDeep Tech周りの大きな調達が目立った1年でした。「b→dash」、「Yappli」、「SmartHR」、「ANDPAD」などがB2Bの本命となり、Deep Techではティアフォー、TBM、Synspectiveが、自動走行、素材、宇宙領域で100億単位の調達を見せて嬉しかったです。B2Cは、D2Cがプチトレンドに育ちましたが、次のスマートニュース級プロダクトへの期待感が高まった1年でした。

■2020年のトレンド予測

 B2B SaaSは海外勢が入りにくいコーポレート系など、まだまだポテンシャルがあるので、恐らく数年は続くと思っています。またSaaSトレンドとも連動しますが、既存にある巨大産業×Techも引き続き。スマホやEコマースはもちろん、機械学習やブロックチェーンとの組み合わせでPMFするプロダクトや事業を生み出し急成長する企業が生まれる可能性があります。Deep Techもロボティクス、再生医療や遺伝子医療、量子コンピューティング、ドローンなど、さらに大きな盛り上がりを見せると思います。

 B2C領域だと、FinTechは2019年からの流れもあり、レンディング、資産運用は引き続き盛り上がるはずですが、資金調達力勝負になるので、そこが強い会社が残ると予想しています。ピュアなto Cビジネスだと、成熟感から次のメルカリ・次のスマートニュースが見つかりにくい状態になっているようにも思いますが、逆にその中から世界に打って出るプロダクトや事業は出てきて然るべきで、ミラティブなどピュアC向けサービスの新しい波が出てくることを期待します。

 最後に、衣・食・住など大きな市場をテクノロジーによって変革していく領域は残されています。テクノロジー、リアルなオペレーション、業界ナレッジ、巨額な資金調達力を組み合わせれば、変革を起こせる可能性は十分あり、そこに挑戦する大胆な起業家が出てくることを期待します。

エンジェル投資家/WIND AND SEAプロデューサー/エウレカ共同創業者 赤坂優

■2019年の振り返り

 Instagramのフィードやストーリーズを活用したコストゼロ集客が一般化していることに加え、販売プラットフォームも充実し、おまけにエンジニア要らずということで、いわゆるD2Cが勃興した年でした。パーソナライズ文脈ではヘアケアの「Medulla」、スキンケアサプリメント「FUJIMI」、スーツオーダーの「FABRIC TOKYO」、バーティカルでは「COHINA」、ペットフードなど、スタートアップが台頭しはじめました。

■2020年のトレンド予測

 個人的には、継続した新たなD2Cブランドの立ち上がりと、広義のMaaSに注目しています。

 D2Cについては保存の効く冷凍食品は相性が良かったですし、このような食品分野でも今後さらに増えていくと思います。若手スタートアップ経営者の年齢的に、パパさんママさんが少ないがゆえに比較的生まれにくいベビーやキッズ関連のD2Cなども出てきてよいと思っています。

 また、自前でブランドをはじめる方々が増えるに伴い、それを影で支えるような「canal」のような梱包スタートアップも米国では既にLumiが大きく成長しており、今後期待だと思います。

 MaaSに関しては、「LUUP」などのマイクロモビリティ以外にも、Mellowのようなビル下環境のプラットフォームが、コストと利便性の面からさらに成長していくと思います。「Uber Eats」がすでに大都市ではなじんできていますが、この他にもデリバリー領域がさらに成長していくと思っています。