米中間の関税戦争が再燃するなか、アジア新興国は経済成長と製造業の空洞化という二律背反に直面している。中国の輸出シェアが縮小する中で、アジア諸国の対米輸出が拡大しているが、国内への恩恵は限定的であり、むしろ中国製中間財への依存が強まり、自国経済の付加価値創出力は低下している。輸出増が必ずしも国内経済の自立性や成長に繋がらない構造的な問題が、地域経済に静かに影を落としつつある。アジア各国の輸出構造の変化や対中依存の実態、中国企業の浸透による影響、そしてトランプ政権下で高まる関税リスクが新興国経済に及ぼす複雑な影響について具体的なデータとともに検証する。
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