習近平国家主席Photo:JIJI

1月末から中華圏の旧正月・春節が始まる。最新データを見る限り、中国経済は内需不足やデフレなどが深刻だ。自動車輸出で成長をかさ上げしているものの、過剰生産で他国にしわ寄せが及んでいる。不動産バブルが崩壊し、依然として大手デベロッパーの経営再建にめどが立たない。中国政府にとって、債務問題はもはや深刻過ぎて手が付けられないのかもしれない。中国経済のゆがみは世界に波及し、自動車を中心に貿易戦争が勃発するリスクは上昇傾向にある。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

中国政府が2024年のGDPを発表
輸出に頼るいびつな経済の実態

 1月17日、中国政府が2024年の国内総生産(GDP)を発表した。それによると、物価変動の影響を除いた実質ベースのGDPは前年比5.0%増えたものの、23年の成長率(5.2%)を下回った。

 注目は、名目ベースの成長率は4.2%と、実質GDP成長率を下回ったことだ。明らかに中国経済のデフレ傾向が鮮明化している。

 GDPの中身を見ると、国内の需要低迷が深刻な中、主に自動車輸出で何とか成長をかさ上げしている。内需の弱さを輸出で補う実体が明確になっている。

 1月16日、米トランプ政権の財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏は、「現在の中国経済は世界史上最もアンバランスな状況」と指摘した。中国経済は輸出依存型のいびつな構造である。

 中国では、不動産バブルの後始末の遅れなどにより、内需不足が一段と深刻化している。デフレ圧力は高まり、今後さらに失業者も増えると予想される。経済が長期停滞に陥るリスクは高いだろう。

 一方、中国政府は、電気自動車(EV)をはじめとした次世代自動車の輸出など外需に頼って景気回復を目指している。それは、米国などとの通商摩擦激化さらには貿易戦争につながることが懸念される。中国経済は、紛れもなく世界の不安要因の一つになっている。