国際決済銀行(BIS)が6月末に公表した年次報告書は、近年の財政・金融構造の変化が国債市場に新たな脆弱性をもたらしていると警告した。金融仲介の軸足は民間から政府へ、クロスボーダー資金移動の担い手は銀行から資産運用業者へと移り、国債発行と国境を越えた投資のスケールが大きく膨らんでいる。本稿では、国債市場におけるタームプレミアムの拡大メカニズムにおいて供給増と財政持続性への懸念という二重の圧力が長期金利を不安定化させるかを整理するとともに、米国の財政赤字拡大が国債のリスクプレミアム拡大する経路を検討する。その上で、金融政策の余地が限られる日本においても、日銀の金利政策が世界市場の安定性に与える影響が増している現実を指摘する。
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