
日銀、6月会合も利上げ見送り
トランプ関税の影響見極めは年後半
日本銀行は6月16、17日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%に据え置くことを決めた。
利上げ見送りは3会合連続だが、植田和男総裁は、前回5月の決定会合後の記者会見で、2%に向けた基調的な物価上昇率の改善傾向がトランプ関税の影響で足踏みする可能性に言及し、利上げを事実上一時停止する考えを示していた。
日米を含めトランプ政権と各国との間で関税見直し交渉が続くなか、トランプ関税が内外経済および物価動向に与える影響はまだ見極めることができないことから、市場でも今回の会合では政策金利を据え置くとの見方が大半だった。
日銀は、基調的な物価上昇率を大きく左右する国内賃金への影響も注視しており、その見極めにもなお時間がかかるだろう。
対外公表文にも記載され、植田総裁も今回の会合後の記者会見で何度も使った言い回し、いわばキーワードが、海外の経済・物価動向を巡る「不確実性は極めて高い」だ。
これは主に、トランプ関税がもたらす影響について表現したものだが、この言葉が使われている間は、追加利上げは視野に入っていないというメッセージを日銀は発信している。
実際、25日に公表された6月の「金融政策決定会合における主な意見」の中でも、「金融政策運営に関する意見」のパートで、17のコメントのうち政策金利に関わるコメントは5つにとどまった。
今後、利上げ再開を占うには、この表現がいつ修正されるかが、大きな注目点となる。
植田総裁は、トランプ関税の影響が顕在化し、その程度を見極められるのは年後半とのニュアンスで話していたように感じられる。そうであれば、関税の悪影響がそれほど深刻なものでないことが分かり、利上げを再開するとしても、年末か年明けまでずれ込むと考えられる。