超長期債金利上昇が織り込む「財政リスク」、日本版“トラス・ショック”は起きるかPhoto:JIJI

10年国債金利、17年ぶり高水準
超長期債金利は当時を上回る

 最近、日本の長期金利が上昇傾向を強めている。その指標である10年国債金利は、7月23日、25日には、一時、1.60%台まで上昇し、2008年10月以来の約17年ぶりの水準となった。

 長期金利の水準は、日本銀行が政策金利をいまと同じ0.5%に引き上げた07年2月からリーマン・ショック直前の08年8月までの平均値(1.59%)と同水準で推移し、超長期債の20年金利と30年金利は当時の水準(20年金利は2.14%、30年金利は2.38%)を大きく上回っている。

 自由な取引によって成立する長期金利は無数の市場参加者による“集合知”ともいえ、日本経済や物価の先行き、さらには財政リスクに対する重要なメッセージを含んでいる。

 長期金利が、いまなぜ17年ぶりの水準まで上昇しているのか。分析すると、財政膨張で金利が急騰する「財政リスク」が今後、一段と強まる恐れがある。

 すでに20年債などの超長期債の利回り上昇には、日本の財政拡張を予想する海外投資家の思惑が反映されている。

 参院選での与党敗北で石破政権の基盤が不安定化する一方で、トランプ関税や物価高対策で野党の要求を受け入れながらの政策運営を余儀なくされるなかで、市場が財政規律の弛緩を意識することになれば、長期金利への波及の可能性が高まる。