日本の財政は危機的であり、長期金利の上昇は悪夢の始まり――米著名投資家のケン・フィッシャー氏はこうした“常識”を真正面から否定する。石破首相がギリシャ危機を引き合いに財政再建の必要性を訴えるなかで、同氏は「日本はギリシャにはならない」と断言。むしろ長期金利の上昇は経済の正常化と成長加速を示す強気要因であり、高債務国であるがゆえにインフレこそ政府に味方すると指摘する。本稿では、フィッシャー氏の主張を軸に、歴史的なデフォルト実績の少なさ、ストック(債務)とフロー(GDP)を比較するミスマッチ、税収比で見た利払い負担の低下、インフレによる債務負担軽減、イールドカーブ正常化がもたらす金融仲介機能の活性化という5つの論点から、日本財政にまつわる誤解を解きほぐす。表面的な債務残高の大きさは危機の根拠とはならず、むしろ「知られざる強靭さ」が日本経済の足元を支えていると解説する。

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