日銀の利上げ到達点「27年に1.25%」視野、26年1月利上げ後に“休止期間”もPhoto:PIXTA

4~6月期実質GDP、5四半期連続増加
「トランプ関税」下25~27年を展望すると

 内閣府は8月15日、4~6月期のGDP統計(1次速報)を発表した。同期の実質GDPは前期比年率+1.0%と、5四半期連続で増加した。4~6月期は輸出と設備投資が景気の牽引(けんいん)役を担った。

 4月3日(日本時間)に米国のトランプ大統領が相互関税を発表し、世界に衝撃を与えた時の状況を思い起こすと、4~6月期の日本経済は底堅く推移したと評価できる。

 ただし、牽引役の一つの輸出は、4~6月期に米国など世界経済が粘り強さを維持していたことに負うところが大きい。7~9月期の世界経済の減速次第では、日本の輸出も7~9月期には鈍化が見込まれる。

 もう一つの牽引役だった設備投資は相互関税の発表前から計画されていた、あるいは着手されていたものが4~6月期にも継続された面を否めない。トランプ関税の影響が設備投資に表れるとすれば、やはり7~9月期以降となろう。

 つまり4~6月期GDP統計はトランプ関税が日本に与える影響を読む材料としては尚早で、影響は7~9月期に表面化するだろう。

 トランプ関税下の経済、物価を展望すると、7~9月の実質GDPは6四半期ぶりに前期比マイナスとなる可能性が高いものの、サービス業の底堅さを背景に日本経済は景気後退を回避できるだろう。26年は食料品やエネルギー価格の上昇ペースが下がることで、コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)は日銀の物価目標である前年比2%を下回る見通しだ。

 だが27年には、サービス価格の上昇を伴う「国産型」のインフレが2%近辺で実現し、基調的なインフレ率も2%近くでの推移が見込まれる。

 日本銀行は、26年1月に利上げをした後、インフレの趨勢(すうせい)を見極めるため、1年ほどの利上げ休止期間に入ろう。その後は、基調的なインフレ率の2%近辺への上昇に歩調を合わせながら、27年1月、7月に追加利上げをするだろう。この段階で政策金利は中立金利に近づいたとの評価がされるだろう。