不動産を高値で売却する方法[2019年]
2018年4月5日 ザイ・オンライン編集部

不動産を相続すると、なぜ電話やDMが来るの?
調査方法は違法なのか、信頼できるのかを解説

不動産を相続すると、どこからともなく電話やDM(ダイレクトメール)が来る。「相続した不動産の売却相談はぜひ当社へ」というダイレクトなパンフレットが同封されている。誰が情報を漏らしたのかと周囲へ不信感を抱きがちだが、情報元は意外にも行政機関(法務局)であり、その情報をもとに「名簿屋」が相続した不動産のリストを作成し、売っているのだ。こうした情報収集法が違法なのかどうか、また電話をかけてきた不動産会社や相続関連サービスを使ってもいいのかを解説する。

「相続」という極秘情報は法務局で情報開示可能

 身内に不幸があり、相続が発生すると、突然見知らぬ不動産会社や税理士事務所などから、電話やDMが来るケースがある。

 「相続した不動産の売却相談は当社へ」、「払いすぎた相続税を取り戻せるチャンスがあります」など、明らかに相続した個人を狙い撃ちした電話、DMであることがわかる。個人情報保護法が成立して以来、個人情報の扱いはどこでも慎重になっている。そういう時代だからこそ、見知らぬところから届くDMは気持ちが悪い。こんな経験をした人も少なくないだろう。

 「いったい、誰が情報を教えたのか?」という不快感と同時に、周囲への不信感を覚えるのもやむを得ない。葬儀屋をはじめ親族、もしくは隣近所などに疑いの目を向けたくなるだろう。

 ところが、意外にも極秘情報である個人の相続の情報が「法務局」で情報開示できるのだ。

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大元の情報は、不動産の登記の変更でわかる

 相続した家や土地の情報が誰かに知られるのは、当然のことでもある。というのも、すべての登記簿の閲覧・取得は誰でもできるからだ。ただし、不動産は多数あり、その中から相続された不動産だけを抽出しなければ莫大な時間とお金がかかるため、効率的に相続案件だけを選ぶ必要がある。

 では、相続による登記変更だけを抽出することは可能なのだろうか? さっそく、自宅近くの法務局に問い合わせてみた。

 「相続による登記ですか。それを調べるには、『不動産登記受付帳』の行政文書開示請求をすれば可能です」とのことだ。「不動産登記受付帳」とは、不動産登記のうち変更・新設されたものの一覧で、閲覧もしくは複写ができるのだ。

 ただし東京都の場合は、対応できるのは九段下にある本局だけ。そこで、行政文書開示請求の手続きをしなければならない。いずれにしても相続による物件登記を探す手がかりは、法務局にあるというわけである。

相続情報は比較的安価に入手可能

 不動産登記受付表の取得に、どの程度の手間と費用がかかるのか調べるため、実際に九段南にある東京法務局本局に出向いて、手続きしてみた。

 手続きは簡単だ。担当窓口で、行政文書開示請求書の書類をもらい、知りたいエリア、時期を記載する。ただし、相続による登記物件に絞るのであれば、「相続のみ」と書き加えておけばよい。もしも条件を絞らなければ、請求月のすべての登記分が開示され、料金が増える。申請手数料の印紙代300円を貼り付けて提出した。あとは、「行政文書開示決定通知書」が届くのを待つだけである。

 開示請求をしてから、約1カ月後に特定郵便が東京法務局から届いたので、早速見に行った。次の写真が、「不動産登記受付表」だ。

世田谷区の不動産登記受付表不動産登記受付表を見れば、相続した不動産が分かる(世田谷区の2018年1月の不動産登記受付表)

 今回は東京都世田谷区の2018年1月分の不動産登記受付表のうち、「相続」に関するものだけの開示請求及びコピーの依頼を行った。

 もらったコピーは、相続以外の情報も記載されている一覧表だ。世田谷区の2018年1月分の不動産登記受付表は、全部で5000件強(300ページ強)あり、そのうち相続に関する記述があるページだけを抜き出してコピーしてくれた。「所有権移転相続・法人合併」と書かれているものが、相続を理由として登記簿が変更されたものだ。ここでは個人情報を消しているが、実際はモザイクなしの情報が得られる。そのうち相続に関する登記は169件。そのコピーをもらった。

 コピー代は1枚10円なので、1690円を支払った(なお、行政文書開示請求時に手数料として支払った印紙代300円をコピー代として利用できるので、コピー受け取り時には1390円の支払いで済む)。DVDに情報を記録してもらうことも可能だ。

 もし、閲覧だけを希望する場合は、100枚あたり100円しかかからない。1枚につき17件程度の登記変更・新設情報が記載されており(相続情報以外も記載されている)、2018年1月の世田谷区の場合、300ページ強なので、400円ですべてを閲覧できる。なお、閲覧時にカメラでの撮影も可能なので、撮影したデータを持ち帰ってOCRで読み取れば、ほとんどお金をかけずに情報を取得できる。

 ただし、このデータには、土地の住所と登記更新の理由が記載されているだけで、例えば相続人の名前が記載されているわけではない。記載されている住所は、いわゆる「住所(住居表示)」ではなく、登記簿用の「住所(地番)」なので、そのままではDMを送ることはできない。

 そこで、住所(地番)をもとに、改めて法務局で登記簿を取得すれば、現在の所有者がわかる。郵送用の住所(住居表示)についても、法務局で教えてくれるほか、地番から住居表示を一括で割り出してくれるサービス、ソフトは多数ある。さらにNTTの電話帳をデジタル化したサービスを使えば、以上の情報から電話番号もある程度、判明するのだ。

 名簿業者やDM業者は、不動産登記受付帳から「相続」した情報を抽出して、そこから関連する情報を探り出し、相続人リストを作っているのだ。この作業自体は違法な手続きを経なくても、作成できることが分かった。

電話やDMを送ってきた不動産業者を信用していい?

 相続税の申告・納税の期限は、10カ月以内となっているため、相続人にとっては相続した財産・不動産をどうするかゆっくり検討する時間が足りない。そんなときに見知らぬ不動産業者や税理士事務所から電話がかかって来たり、タイミングよくDMが届くのである。

 こうした相手を信用して相談してよいものだろうか。相続・事業継承問題のコンサルティング事業をしている(株)アーレスグループ代表の江幡吉昭氏に訊いた。

 「安易に信頼しないことですね。特に相続した不動産を現金化したい場合は、気をつけるべきでしょう。売り主側に十分な知識と比較検討する時間がないと、不利な条件で買いたたかれることも少なくありません。相続税の期限があるからといって、売り急がないことが重要です」と、江幡代表は警告する。

 もしも納税資金がない場合、不動産を現金化して納めようと考えがちだ。ところが、相続した不動産を適正価格で、しかも短期間に売却してくれる不動産業者はほとんどいない。早期に売却をするのであれば、通常、不動産買取業者に買い取りを依頼することになるが、そうした会社はかなりの安値でしか買い取ってくれないケースが多いのだ。時間があまりないことに付け込む業者もいる。

 「適正な価格で売りたいのであれば、まず、実際の流通価格がいくらなのか知ることでしょう。売買実例を比較し、おおよその相場を知ることで、流通する適正価格もわかってきますから」

 電話勧誘やDMでアプローチしてくる不動産業者の中には、売り急がせるなど、必ずしも相続人の利益を優先しない会社もある。もし活用する場合は、実際に会っていろいろ聞いてみたり、自分で見つけてきた複数の不動産会社にも相場や売り方についてアドバイスを受けるなど、慌てずに判断することをおすすめする。相続した財産を目減りさせないポイントは、不動産の適正価格を知ることが重要だ。

 また、慌てて売却する必要がなければ、売却せずに賃貸物件として利回りを確保しながら、じっくりと買い手を探す方法もある。

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不動産業者から電話やDMが来たときの対処法まとめ

 ここまでが、不動産業者から電話やDMが来る理由と対処の方法だ。最後に内容をまとめておくので、参考にしてほしい。

・法務局に情報開示請求をすれば、相続の情報が得られる。この情報をもとに、不動産を相続した人の名前や電話番号を割り出すことができる。
・相続した不動産物件を現金化するために売り急ぐと、安く買いたたかれるリスクがある。
・適正価格で売却するためには、自ら相場を知ることが必要。

(電話勧誘やDMでアプローチしてくる業者は玉石混交なので要注意)
・流通量が少ない地方では、賃貸などの利回りを確保して売却のタイミングを探る。

 なお、適正価格で売却するには、複数の不動産会社に査定を依頼して、じっくりと相場を把握し、焦らずに販売していくのがいいだろう。その際、「不動産一括査定サイト」などを活用すると、複数の会社に簡単に査定を依頼できるので便利だ。

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