難関中学受験の教科別対策

 次に教科別の詳しい対策法を解説します。特に難関中学の受験を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

算数は、過去問の反復演習を

 算数は過去問の反復演習が最も有効な教科です。各行入試の試験時間・大問構成・合格最低点の目安は例年大きく変わらないため、過去問演習で、解くべき問題・後回しにする問題の見極め、手をつける順番・優先順位、時間配分についての戦略を立てましょう。

 受験生のだれもが取り組む過去問演習は、ライバルを圧倒するほどやり込んで差をつけましょう。過去問演習は遅くとも9月から始め、第一志望10年分、第二志望5年分、第三志望以降は3年分を目安に、暗記するくらい反復することで、解法パターンを習得し同種の問題に長考せずに対応できるようになります。

 大切なのは、答えがあっているかよりも考え方や解く手順の理解です。ノートも復習を想定してとります。自分の考え方や線分図、式をきちんと書く習慣をつけましょう。

 算数の成績は入試ギリギリまで伸ばせるので、年内の模試で結果が出なかったとしても粘り強く反復演習を続けましょう。

国語は、最低5年分の過去問

 過去問演習の最大の目的は、志望校の出題傾向を理解・体得することです。国語は、学校ごとに本文の文種や長さ、記述問題の特徴など出題傾向が大きく異なります。志望校の過去問は最低で5年分、できれば10年分解きましょう。

 読解問題は、間違えた理由を明らかにし、どうすればよかったかを検証する復習で精度を高められます。

 記述問題については、説明文・物語文それぞれの「記述の組み立て方」の基本に忠実にできているかを必ず確認することが大切です。

 特に過去問の記述問題は、自己採点をせずに先生に採点、添削をしてもらいましょう。また、国語でも記述問題などで新型コロナウイルスに関する内容が出題される可能性が考えられるので、日頃からニュース・新聞をチェックしておきましょう。

理科は、簡潔に回答する

 過去問演習は第一志望校なら5年分は解き、取り組んだ後は、失点原因の対策をしましょう。ミスの原因が知識不足であれば、その単元の知識をチェックし直します。思考系の問題では、どの過程でミスがあったかを確認し、単元の考え方を定着させる、

 条件や途中式をきちんと書き出して計算ミスや条件の読み飛ばしを防ぐなど、必要な対策をします。合格には必ずしも満点は必要ないので、優先順位を確認して合格に必要な得点を取れる力をつけましょう。

 近年、身の回りの理科的な題材をヒントにした問題や日常会話から理科を考える問題などが増えてきています。問題文の文章量も多くなり、提示される情報の中から問題を考え、解答する力が問われています。記述式の解答では理科用語の活用を意識し、簡潔に解答することが必要です。採点者に伝えるという視点をもって解答を作成しましょう。

 時事的問題は気象・天体・生物関連等に注目し、基礎事項をチェックしておきましょう。

社会は、まず知識を完成

 知識に不足があると感じる場合は、知識を完成させてから過去問演習に取り組みましょう。焦って過去問に取り組んでも、自信を失うだけになりかねません。過去問が気になる場合は、早めに1年分を解いて、地図がよく出る、グラフの読み取りがあるといった傾向を掴みましょう。過去問演習は、自分の失点原因を確認するためのツールでもあります。大切なのはどれだけできたかではなく、復習です。

 近年増えている、自分の意見や案を書かせる問題の対策には、時には入試から離れて、興味のあるトピックやニュースを追求し、自分の意見をもつ態度を養うことも大切です。

 時事的問題では、新型コロナウイルス関連、オリンピック・パラリンピック、豪雨災害、地球規模の環境問題などが出題される可能性が高いと考えられます。ニュース・新聞をチェックし、背景や周辺知識も含めて興味を持って調べましょう。