数学的に考察する経験が問われる

――第2問の〔2〕は積分法ですね。

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石田 こちらも必答の問題ですが、時間内に処理するには、全体的に高いレベルでの理解が必要だったと思います。

 前半は、2つの3次関数に囲まれた領域の面積についての問題で、「2つの関数値の差」を関数として捉えるという見方ができていれば、誘導にスムーズに乗れます。これも日常の演習の中で、問題を振り返って数学的に考察する経験を積んでいるか否かで差がついた問題だと考えられます。

 後半のS-Tの値についての考察では、目の前の計算をただ力任せに行うのではなく、計算の過程全体を先に見渡してから個別の計算を行うといった、「見通しを持った計算力」を身に付けていない場合は、そもそも何を聞かれているかが理解できなかったのではと思います。

――第1問と第2問の配点は各30点で、第3問から第5問のうち2問(各20点)の選択でした。難度を考えると、どれを選んだ方がよかったのでしょうか。

石田 数学IIBの選択問題では、第3問の確率分布と統計的推測は一般の入試ではあまり出題されないため、学校でも扱わないことが多いのです。そのためほとんどの受験生は、第4問の数列と第5問のベクトルを選択します。第4問は入試後の報道でも「長い問題文」で話題になりました。共通テストが問おうとしていることを理解して、対策をとっていることが必要でした。

――では、まずは数列を扱っている第4問から見ていきましょう。確かに、問題文が4ページもあり、とても長いですね。

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石田 状況の説明になんと丸々1ページ使われています。これが「長い問題文」として話題となったところです。ですが、次ページにグラフ(ダイヤグラム)が親切に与えられています。このグラフを見ながら問題文を読んでいけば、条件の把握はそれほど難しくなかった。問題はこのような要領を身に付けていたか、でしょう。一般に、数学の設問は厳密性が必要なため、得てして説明が長くなります。そのようなときは、素早くポイントだけ取り出せばいいということを、普段の演習を通じて体得していれば対応できたでしょう。