代々木ゼミナール
出典: 代々木ゼミナールの公式サイト

学年に関係なく、自分に合う講座を受講できる

 一般的には、生徒はその予備校や塾の学年別のカリキュラムに沿って勉強をしていく。しかし、代々木ゼミナールの場合、高校生は学年に縛られず、自由に講座が選択できる。

授業の進度は学校によって違ってくる。中高一貫校ですと、本来なら高校で習う範囲を学んでいる中学生もいます。その中でも、数学が苦手な生徒もいれば、得意な生徒もいます」(教務管理部 進学指導推進室 山上佳那子 部長)

 例として数学をあげよう。1年目に「数学Ⅰ・A・Ⅱ〈Class-A〉」を受講した生徒は、2年目に理系は「数学Ⅱ・B・Ⅲ・C〈Class-A〉」、文系は「数学Ⅱ・B・C〈Class-A〉」を受講することで高校数学の範囲を2年間で完結させる進度になっている。

 また、数学Ⅱ・数学Bの未習者を対象とした講座として、「数学Ⅱ・B〈Class-C〉」と「数学Ⅱ・B〈Class-B〉」があるが、「数学Ⅱ・B〈Class-C〉」はより初歩的な内容、「数学Ⅱ・B〈Class-B〉」は数学に苦手意識が少ない生徒向けの内容となっている。

 中高一貫校の中には授業の進度が速く、高校1年の生徒に数Ⅱ・Bを教えているところもある。そういった学校の高校1年の生徒で、数学が得意という意識があれば、「数学Ⅰ・A・Ⅱ〈Class-A〉」を受講してもいいだろう。反対に、数Ⅰ・Aの内容がおぼつかないのであれば、それを基礎から理解できる「数学Ⅱ・B〈Class-C〉」のような講座をとればいい。

 英語や国語も学年縛りでなく受講したい範囲や難易度を選べる。スタッフに相談をして、学年に縛られず、より自分に合う講座をとることができる。

それぞれの授業観をもつ個性豊かな講師

授業の様子
授業の様子 提供:代々木ゼミナール

 代々木ゼミナールは講師の採用に力を入れており、採用のハードルが高く、厳しい試験を通過した講師のみが教壇に立つ。

 校舎に行くと「代ゼミ講師オフィシャルガイド2024」という131人の講師の紹介が掲載された冊子が置かれている。講師の写真や出身地、メッセージ、来歴などを掲載。このような冊子は他の塾や予備校ではあまり見ない。「予習をしすぎないでください」とメッセージをする講師もいれば、「受験数学にセンスや才能はいらない」と語る講師もいる。

 このように講師のカタログを配布していることからも、代々木ゼミナールが個々の講師の個性や特徴を前面に出していることが分かる。講師の中には高校や他予備校の教壇に立ってキャリアを積んでから代々木ゼミナールに移籍をしてくる人も多い。

 若手からベテランまで、個性が豊かな、いろいろなタイプの講師がいる。事前に講座を担当する講師が分かるので、体験授業やYouTubeで自分と相性がいい講師の講座を選ぶこともできる。

授業スタイルは講師・講座によって異なるため要チェック

 代々木ゼミナールの授業は90分。生徒一人ひとりに目が届く規模で授業が行われる。

 講師によって授業スタイルも違ってくる。多くは生徒が予習してきたものを解説する講義が中心だが、最近では授業中に問題を解かせ、講師が机の間を歩いて、生徒の手元やノートを見てアドバイスをしたり、添削をしたりもする。小論文対策の講座では授業の担当講師や専門スタッフが生徒の答案に添削まで行って返却する。

 なお、講師室の中に質問するブースがあり、生徒はここで講師に質問することができる。休み時間は30分あるのでしっかりと疑問点を解消することができる。

 また、対面授業に出られない場合は、その授業の録画を後から校舎の専用ブースのPCから見ることができる。

一冊で学びを深められる、こだわりのオリジナルテキスト

 講座の数が多いためテキストの種類も多いが、すべてがオリジナルテキストだ。講座によっては担当講師自身がテキストを作成する。テキストを作成した講師が授業をするから、そのテキストの長所を十分に活かすことができる。

「代々木ゼミナールのテキストの内容を丁寧に繰り返して理解することで、むやみに多くの参考書に手を出さなくても学力が身につくように作られています」(教務管理部 進学指導推進室 山上佳那子 部長)

映像授業サービス「フレックス・サテライン」

「フレックス・サテライン」とは、代々木ゼミナール本部校で収録された映像授業を受講できるサービス。自分のタブレットやスマートフォン、PCから映像授業を見られる「モバサテ」受講と代々木ゼミナールの校舎の専用個別ブースでの受講を併用することができる。

 映像授業は豊富な講座数が魅力で、2,000講座以上が用意され、「古文文法」「世界戦後史」といった細かい分野別の講座もあれば、「看護系入試対策講座」「特別選抜対策講座」といったターゲットを絞った入試対策講座群も設置されている。対面授業を受けていてもこちらのフレックス・サテラインの講座を受講することができる。

記憶アプリ「Monoxer」で授業時間外もサポート

 代々木ゼミナールは記憶アプリ「Monoxer」を導入している。塾や予備校の間で普及している暗記学習用のアプリで、授業時間以外での暗記学習をサポートする。問題を解くたびに記憶の状況を分析し、忘れた頃に再度同じ「暗記すべきこと」を出題するが、難易度を変えてくることも。また、難易度ごとの正誤情報や解答履歴をすべて集計しており、「今どれだけ覚えているか」をAIが測って見える化する。

 ほかの予備校や塾でも導入されているが、代々木ゼミナール生のみが利用できる英語、国語、理科、地歴公民、情報の5教科のオリジナル教材もある。また、高校生専用講座の一部には、授業の理解度を確認するチェックテストを用意している。

「Monoxer」はスケジュール管理機能もあり、例えば英単語は各学年の年間学習スケジュールが決まっており、それに沿って学習を進めることで最低限必要な英単語を確実に定着させるカリキュラムとなっている。高卒生の一部は、「Monoxer」のスケジュール管理機能を活用し、予めアプリ上で毎日の学習計画を設定することで、生徒もスタッフも進捗率(%)を確認することができる。進捗状況を担当スタッフが随時確認をし、助言を行う。

 そして最大のメリットは、「Monoxer」はスマートフォン上で使えるアプリなので、電車に乗っている間や休憩時間などのスキマ時間に学習ができる点だ。単語や知識の問題なら、1問10秒程度で解ける。それを通学時間のルーティーンにすれば、自然と記憶が定着する。

担任やチューター、学習アドバイザーが手厚くサポート

教室の様子
教室の様子 提供:代々木ゼミナール

 代々木ゼミナールは担任制をとっており、スタッフが生徒一人ひとりの成績や学習状況を見て、面談などで適宜アドバイスをする。どの講座をとるべきか、どの大学を目指すか、といったことを相談できる。代々木ゼミナールは全国に校舎があり、複数の校舎で授業を行う講師もいるため、いろいろなエリアの受験生の動向を把握している講師が多い。また全国の校舎のネットワークを活かし、豊富な入試情報データをもとに担任が適宜進路相談を行っている。

 担任と生徒はコミュニケーションアプリMicrosoft Teamsで連絡をとる。メッセージのやりとりのほか、テキスト・テストの解答データを送ったり、休講の情報を発信したりする。

 担任のほかに、「チューター」と呼ばれる大学生スタッフがいる校舎もある。代々木ゼミナールの卒業生が多く、生徒の学習や生活の相談に乗る。親の希望の進路と自分のそれが合わないなどの相談にも乗ってくれる。生徒は自分と年齢が近い大学生にはさまざまなことを相談しやすい。

 このほかに、質問対応を専門とする「学習アドバイザー」もいる。教材を作成しているスタッフが学習アドバイザーとして質問対応をしてくれる校舎もある。

 設備面では、自習室は席数が十分にあり、いつでも使え、広々として使いやすいと評判。赤本をいつでも見ることもできる。

代々木ゼミナールに合う生徒・合わない生徒

 教務管理部の山上部長は次のように語る。

「代ゼミでは生徒が自分で講座や受講方法を自由に選ぶことができるので、自分がどう勉強していきたいかこだわりがある生徒に選ばれることが多いです。校舎で受けるライブ授業のほうが緊張感を保てるという生徒もいれば、映像授業を自宅で視聴したほうが集中できるという生徒ももちろんいて、それぞれに対してベストなサポートができる体制を整えています

 反対にいえば、とくにこだわりはなく、予備校や塾に学習方法から生活習慣まですべて管理してもらいたいという生徒とは合わないこともあるだろう。

代々木ゼミナールの基本データ

校舎数

6校
生徒数 非公開
授業料

◾️高校生
1講座コース:180,000円
2講座コース:310,000円
フリーセレクトプラン45:450,000円
フリーセレクトプラン60:600,000円

◾️高卒生
校舎・コースにより異なる

※高校生・高卒生いずれも2024年度料金
※別途入会金・諸経費などの費用がかかる場合がございます。
※詳細は各校舎にお問い合わせください。

自習室の有無

各校舎に設置あり(開室時間は校舎により異なる)

質問対応

■対面授業
休み時間(30分)や空き時間に可能

■映像授業
マイページやMicrosoft Teams上にて実施

授業の生徒数

各クラスにより異なる

専任講師の比率

集団授業はプロ講師のみ
生徒の男女比 校舎により異なる