「私語厳禁」の授業で集中力も高まる
教室には「本気でやる子を育てる」「私語厳禁」と書かれたポスターが掲示されている。この2つが早稲田アカデミーの教育方針を示している。
早稲田アカデミーは教室を道場と見立て、講師は師範であり、生徒を指導する立場にあると考える。授業の最初を大切にし、生徒に「起立、礼」をさせ、生徒は気持ちを切り替えて授業に臨む。生徒のやる気を引き出すことをモットーとしており、明るく、活気のある指導を行う。
授業はテキストやプリントに合わせて、最初に講師がその日に扱う単元の説明をし、それから例題を解かせ、その後、例題の解説をする。理解することと問題が解けるのは違うが、早稲田アカデミーの授業では生徒が問題を解けるところまで仕上げる。その仕上げが時間内にできない場合は、補講をすることもある。
双方向の授業であり、講師はテキストやプリントに載っている問題を生徒と一緒に解いていく。生徒は発言したいときは手を挙げ、講師の許可を得てから言葉を発する。そのため、いわゆる学級崩壊授業にはなりにくい。
予習シリーズとオリジナル教材
小学3年は「Compass」を使用。科目によってはカラー写真やイラスト、コラムなどが掲載されている。この「Compass」に沿った「錬成問題集」を宿題用教材として使用する。国語では漢字や語彙などの知識を身につけ、算数、理科、社会は学力別の問題が収録されている。算数は計算ドリルとしても活用される。
小学4年からは四谷大塚発行の「予習シリーズ」を使用し、四谷大塚のカリキュラムに沿って、本格的に中学受験に向けた学習を進めていく。「予習シリーズ」は難関校もターゲットにしたテキストなので、使いづらいと感じる生徒もいるが、ベーシッククラス向けには「基礎力強化プリント」という早稲田アカデミーオリジナルの補助教材も併用し、授業を進めていく。
もうひとつ、東京・自由が丘にある最難関中学受験専門塾SPICAと共同開発した教材「ロジプラ」が早稲田アカデミーにも導入されている。さまざまな難度の思考力問題が載っており、小学3年から上位クラスなどで扱っていく。
熱量の多い講師の授業でモチベーションアップ
生徒のモチベーションを上げるために、熱量のある授業をする講師が多い。
「学年によって、生徒のやる気を引き出す授業も違います。小学6年の中学受験直前期は目標に向かってともに走るという授業がいいのですが、小学3年の頃は和気あいあいとした授業のほうが生徒はやる気を出します」(早稲田アカデミー 中学受験部長 丸谷俊平さん)
小学3年だと中学受験をすることへの実感がまだないから、「楽しい」「面白い」という感覚がないとモチベーションは上がらないからだ。そういった授業をするために講師は研修を受け、検定試験に合格し、校舎長の許可を得ないと教壇には立てない。
また、先輩講師の授業見学や、録画動画を見て授業の進め方を学んでいく。校舎長は各講師の授業を見学し、アドバイスもしていく。
授業以外にも生徒との接し方や質問対応の仕方など、社員講師には常に研修があり、授業技術だけでなく、入試問題分析や低学年対応の専門研修といったさまざまな研修が行われている。そういった研修制度の充実で人材育成を図っている。
NN開成、NN桜蔭、NN早稲田などの「NN(何がなんでも)」コース
早稲田アカデミーといえば「NN志望校別コース」の知名度がある。これには開成、麻布、武蔵、駒場東邦、早稲田、早大学院、慶應義塾普通部、桜蔭、女子学院、雙葉、渋谷幕張、早実のクラスがある。
小学6年の4月から開講し、選抜テストをクリアした生徒が受講できる。過去問や入試データを徹底して分析し、作成した新作の問題を教材として使用するほか、具体的な入試情報の提供などで万全の志望校対策を行っていく。
NNの前段階として、小学5年では「NNジュニア」を開講。NNの講師が授業を担当し、後期には選抜制の開成と桜蔭のトップレベル講座も開講する。
これらの志望校別コースに参加しない小学6年は、希望すると「難関プログレスコース」と「日曜特訓」を受講できる。前者は選抜制だが、随時、選抜テストが行われるのでクラスが入れ替わることもしばしばある。
全員に目を配りきれる規模の校舎・クラスで、きめ細やかに対応
宿題チェックは塾側がすべて行う。宿題をしてこない場合、時には居残りをさせることもある。
「宿題をやってこない理由はさまざまです。単にやってこないだけなのか、それともやろうとしたけれど問題が解けなかったのか。そういった事情も把握し、ケースバイケースで対応します」(丸谷さん)
家庭で学習しやすいもの、例えば日々の計算や漢字、理科や社会の知識を覚えることなどを中心に宿題として出し、算数で解法が必要なものや国語の読解などは塾で学習するという流れだ。
校舎数が多いため、ひとつの校舎に何百人もの生徒がいるわけではないから、校舎長や講師が生徒たちの状況を把握しやすい。そのため、きめ細かい学習指導や受験指導ができる。
「算数が得意で国語が苦手な生徒がいると、その生徒は苦手科目を克服するために国語の勉強に時間を割きますが、算数をより伸ばすほうがいい時もあります。そのような場合は、適宜アドバイスしていきます」(丸谷さん)
クラス分けも単純に点数だけでは分けず、その時の生徒たちの現状を考慮し、人数を調整することもある。例えば、ベーシッククラスを手厚くしたほうがいいと判断すれば、少人数にするなどだ。1クラスの平均は約13人で、講師が全員に目を配ることができる。
また、小学4年と5年は、隔週土曜日に学習の内容を振り返る「カリキュラムテスト」、小学6年は毎週土曜日に一週間の学習を復習する「土曜YT講座」(週テスト)が行われ、定期的に学習の定着状況を把握することができる。
オンラインでも中学受験に向けた授業を受けることができる
コロナ禍で、いち早くオンライン授業を導入したのが早稲田アカデミーである。現在も、校舎での「対面授業」かオンラインの「双方向Web授業」が選択できる。また「早稲アカDUAL」というシステムもあり、体調が優れない時などにはZoomを利用して自宅から授業に参加できる。
もうひとつ、「オンデマンド授業映像」もある。こちらは録画された授業動画で、自分が見たい科目・単元の授業をいつでも何度でも視聴できる。重要なポイントがコンパクトにまとめられている。
中学受験において、早稲田アカデミーに合う生徒・合わない生徒
面倒見のよさで定評がある塾だ。学習面に関しては塾がすべて面倒を見る。何かあれば、講師が保護者に電話をする。
塾から保護者への連絡は、メールではなく電話で行う。受験の直前には、校舎長から手書きの激励の手紙が送られてくる。
オンライン授業の充実など最新のデジタル技術を駆使する一方で、アナログなコミュニケーションを大切にするのが早稲田アカデミーだ。それに対して安心感を持つ保護者もいれば、苦手だと感じる保護者もいるだろう。
また、子どもの学習管理を全部自分でやりたいと思う保護者は、面倒見がいい塾と相性がよくないこともあるだろう。
早稲田アカデミー(小学生向け)の基本データ
校舎数 |
・中学受験対策対応校舎 121校舎(2024年3月現在) ・高校受験準備対応校舎 117校舎(2024年3月現在) |
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生徒数 |
約24,600名(2024年3月現在) |
授業料 |
■小学校1年生・2年生 スーパーキッズコース ・全39校舎で実施 ・2科(算国)17,000円/月 ※映像コースは5,000円 ※別途、年会費1,870円/月
■小学校3年生 ジュニアコース ・2科(算国) 13,420円/月(2月~3月) ・4科(算国理社)26,730円/月(4月~1月) ※別途、年会費1,870円/月・必修テスト代が必要
■小学校4年生 Sコース(中学受験対応) ・4科(算国理社)30,360円/月 ※別途、年会費2,900円/月・教材費・必修テスト代が必要
■小学校5年生 Sコース(中学受験対応) ・4科(算国理社)49,060円/月 ※別途、年会費2,900円/月・教材費・必修テスト代が必要
■小学校5年生 Kコース/Pコース(高校受験準備) ・3科(英算国) 15,400円/月 ・2科(算国) 8,800円/月 ・英語 単科 8,800円/月 ※別途、年会費1,870円/月・教材費・必修テスト代が必要 ※PコースはExiV5校舎に設置
■小学校6年生 Sコース(中学受験対応) ・4科(算国理社)50,050円/月 ※別途、年会費2,900円/月・教材費・必修テスト代が必要
■小学校6年生 Kコース(高校受験準備) ・3科(英算国) 15,400円/月 ・2科(算国) 8,800円/月 ・英語 単科 8,800円/月 ※別途、年会費1,870円/月・教材費・必修テスト代が必要
■小学校6年生 Pコース(高校受験準備) ・5科((英算国理社)20,680円/月 ・2科(算国) 8,800円/月 ・英語 単科 8,800円/月 ・理社 単科 5,280円/月 ※別途、年会費1,870円/月・教材費・必修テスト代が必要 ※PコースはExiV5校舎に設置 |
自習室の有無 |
教室の開室時間にいつでも利用可能 |
質問対応 |
授業の前後や自習時間で対応 |
授業の生徒数 |
学年、クラスによって異なる(平均15名程度) |
専任講師の比率 |
非公表 |
生徒の男女比 | 非公表 |