Aさん:都心といわれる地域に住んでいる共働き家庭です。夫は自営業、私は事務職として働きに出ています。長女がenaに通って、都立中高一貫校に合格しました。
Bさん:都内の西方面在住です。夫も私も会社員です。長男はSAPIXから私立難関男子校、弟は今enaに通っていて、都立武蔵か都立立川国際を受験する予定です。
Cさん:23区内に住んでいます。息子をenaに通わせています。夫が大学の教員で、私は学校の事務職です。
都立中高一貫校を目指し、enaに入塾
司会:なぜ、enaに入塾させたのでしょうか。
Aさん:夫がフリーのエンジニアなので、無理して都心に住んでいるんですよ。家賃が大変だから中学受験はさせないつもりでしたが、近隣の都立中高一貫校のイベントに娘がお友達と参加して、「あの中学に進学したい」と言い出したんです。小学5年の時だったので間に合うか心配でしたが、enaで相談したら、小学校での成績もいいし(都立中高一貫校は内申点を評価する)、希望する学校はそんなに難しくないので、まず大丈夫だと言われたので入塾しました。
Bさん:長男をSAPIXに通わせて、一応、第一志望に入ったんですが受験のフォローが本当に大変でした。私たちが受験した頃とは勉強の量も質も違います。長男がずっと勉強しているのを見ていたから、次男は「僕には中学受験は無理だ」と言っていたのですが、地元の公立中学の部活動の活動がいまいちと知って、「友達が通っているenaに僕も行きたい、都立中高一貫校なら受けたい」と言い出しました。
相談に行ったら、基本的に全部塾で見てくれるようだったので入塾させました。私立も中堅校なら対策ができるそうなので、それも条件が合いました。近隣の私立中堅校は評判がいいので、そこでもいいと思っているんですよね。
Cさん:夫と意見が一致したのは「小学生で詰めこみ教育をするのはよくない」ということでした。だからといって、勉強をまったくさせないのも心配なので、基礎学力をつけるためにenaに通わせています。その流れで、運よく都立中高一貫校に合格できたらいいなあと考えています。
中学受験塾って受付は女性だけど、講師は男性が多いのですが、enaは女性の先生が多くて、あまり「進学塾」っていう雰囲気じゃないのも私は好きなんですよね。
enaにスパルタ先生がいないわけ
司会:enaは女性の先生も多く、体育会系ではないと聞きますね。
Bさん:私もenaのスパルタじゃない感じが気に入っています。私立受験の塾だと厳しい先生もいますからね。長男にはそういうのが合っていましたが、次男はそうではないので。男性の先生も優しい雰囲気です。
Cさん:ちょっと小学校みたいな雰囲気ですよね。enaの講師も生徒を呼びすてにしていますが、それも信頼関係ができてからだし、すごく優しい口調なんですよ。うちの子も先生に懐いています。引っ込み思案な子なのに、enaの先生には積極的に質問ができています。
Bさん:そうなんですよね。実は一時期、上位の私立も受けさせようと考えて、私立対策をしっかりやる塾に切り替えようと思ったこともありましたが、本人がenaが好きというので通わせています。
Aさん:うちの子の校舎は難関校を狙うとしたら、ちょっとのんびりしすぎているかなとも感じましたが、ご機嫌で通ってくれて、ちゃんと志望校に入れたので満足しています。合宿にも行かせましたが、女性の先生が多いと合宿も安心です。
ena名物の合宿は「ママが助かる」
司会:enaは合宿が名物ですね。専用の合宿所を所有していますし。
Cさん:うちも参加を考えていますが、どうでしたか?
Bさん:GWや夏休みに子どもが合宿に行ってくれると、私が楽。本人も思い出ができるし、先生たちが合宿慣れしているので安心でした。
Aさん:enaの合宿は10日間と長いことがXで炎上していましたが、あれを見てしみじみとXって「母親がつきっきりで子どもの面倒を見るのが普通」という感覚の方が多いんだなあと再認識しました。10日間、子どもがいないのって助かりますよ。しかもプロの大人が監督してくれて、お友達や同い年の子たちと一緒で本人も楽しい、しかも勉強もさせてくれる。うちの子は家では勉強しませんでしたからねー。
Bさん:SAPIXだと校舎から徒歩5分の所に自宅があるのに、送りむかえをするママたちもいますよ。そういうママたちからすると、子どもだけ合宿に行かせるのは信じられないのでしょう。
Cさん:夏は親も体力が落ちているので、HP(生命力や体力)を回復するためにも合宿に行かせるのはよさげですけどね。
Aさん:自然科学体験みたいな合宿もあるんですよ。それにも行かせました。うちは夫が自営なので、スケジュール的に家族旅行にはなかなか行けません。enaで旅行に連れていってくれるのは助かります。
Bさん:費用はかかりますが、特別に割高ってこともないですしね。
別ブランドの難関私立対策の塾も登場
司会:Bさんは私立も受験されるとおっしゃいました。最近、enaが「極(きわみ)」という最難関私国立中学対策の塾を作って話題になりましたが、ご存じですか。ena全体として、私立対策にも力を入れ始めたとも聞きますが。
Bさん:そうなんでしょうか。そうだとしたら、難関私立中学対策の塾を別ブランドで作る意図は理解ができます。通常のenaの校舎では、難関私立中学対策は難しいかもしれませんね。SAPIXに通っていた長男が弟に算数を教えていますが、愕然としていますよ。「こんなやさしい問題?」って。長男がやっていた問題が難しすぎたんですけどね。
Cさん:わかります。enaで一緒のママたちが「私立対策ばかりだ」って言うんですけど、私立受験をわかってない人たちだと思いました。私立対策塾とは扱う問題の難しさが違いますね。
Aさん:enaで私立受験対策もする場合は、どう違ってくるんですか。
Bさん:理科や社会の知識を勉強します。テキストも別にあります。私立では知識の詰め込みが必要なので。ただ、算数が通常のenaの校舎だと難関私立中学対策には向かないですよね。小学6年になると変わってくるんでしょうか。
Aさん:enaは小学6年でも算数はそんなに難しくならないので、私立の難関校対策にはちょっと物足りないかもしれません。うちの子が自力でやっていましたからね。ただ、国語については作文や記述の対策が多いのでそれなりに大変ですよ。記述だけは私立対策よりもハードなのかもしれません。
都立中学と私立中学の併願戦略は?
司会:Bさんは私立も受験するということですが、適性検査型入試を行っている中堅校もあります。そういった学校も受験されるんですか。
Bさん:受けさせません。私たちが受験させるつもりの学校は偏差値が50台前半で、適性検査型の入試はないんですよ。そういう入試がある所は、偏差値が下がりますよね。うちは都立中高一貫校と私立を1校だけ受けさせます。両方落ちたら地元の公立です。部活動は諦めてもらいます。長男は通学時間が1時間以上で、ちょっと後悔しているんですよ。下の子は家から1時間圏内なのが第一条件です。
Aさん:先ほど伺いましたが、ご長男、すごい学校ですものね。
Bさん:そんなことはないですけど。男子校は私の方針というか、好みとは合わなくて。次男は都立中高一貫校の共学で自由にやってくれればいいかなあと。入れるかどうかわかりませんが。
Aさん:Bさんの息子さんが志望する都立武蔵は難関ですし、立川国際も難しいですからね。うちの子の学校は申し訳ないぐらいに楽でした。
Cさん:Aさんのお嬢さんの学校はいいと思いますよ。夫の友達に大手塾で御三家対策の責任者がいますが、お子さんをそこに入れていました。詰めこみをしたくなかったようです。それを聞いて、うちも私立中学受験はやめました。もし不合格なら、地元の公立に通えばいいかなって。その場合、enaは中学1年の1年間は授業料が無料になるそうなので。
Bさん:都立中高一貫校で残念だった子たちは基礎学力があって、内申点もいい子が多いから、高校受験で結果を出すんですよね。
Aさん:私立対策ならいくつも受験できるけれど、都立対策ではそうもいきません。そのあたり、割りきる必要もありますよね。うちは小学5年の秋から入塾したのでいいですが、小学4年から通っていると1つしか受験できないのはちょっとつらい。それもあって都立志望は減っているんでしょうね。高校無償化でますます減りそう。
Cさん:志願者が減るのは、受験生にとってはありがたいですよね。期待しています! うちの子の志望校も楽になりますように。
Bさん:うちもです! 中学から都立なら学費負担も軽くなります!
ena保護者の座談会を終えて
「1校しか受験できない。それでいて対策はちゃんとやらないといけない」という不便さからか、都立中高一貫校の志願者は減っている。そこに東京都の高校無償化が発表され、ますます都立中高一貫校受験者は減少するといわれている。そのためか、早稲田アカデミーは公立中高一貫校専門コースを廃止した。反対にいえば、私立受験率が高止まりしている状況で、都立受験が穴場となりつつあるともいえよう。
共学志向が高まる中、新興の私立がトラブルを続出させており、都立中高一貫校を見直す動きも出てくるかもしれない。今回の座談会でも「小学生のうちに、そこまで詰め込みたくない」という発言があり、無理をしない中学受験をしたいという方針の家庭と都立受験は、相性がいいこともわかってきた。